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【独自解説】「上にもう一つ“実行の主犯”的な者がいる可能性も」 “大河出演”の元俳優ら2人逮捕で急展開の那須夫婦遺体事件 動機は“経済的利益”目的?黒幕は「相当潤沢に金を持っている」可能性も

2024年5月1日 19:45
【独自解説】「上にもう一つ“実行の主犯”的な者がいる可能性も」 “大河出演”の元俳優ら2人逮捕で急展開の那須夫婦遺体事件 動機は“経済的利益”目的?黒幕は「相当潤沢に金を持っている」可能性も
那須夫婦遺体事件に急展開

 栃木県那須町で夫婦の遺体が見つかった事件が急展開です。新たに“実行役”とみられる男2人が逮捕されました。これにより逮捕者は合計4人となりました。今回、捜査が大きく動いた背景に何があるのでしょうか?元大阪地検・検事の亀井正貴弁護士と元警視庁刑事の吉川祐二氏の解説です。

逮捕されたのは、「大河」で主人公の幼少時代を演じた元俳優ら 専門家「まだ2割しか出てきていない」

 5月1日未明、実行役とされる2人が逮捕されました。どちらも容疑は「死体損壊」となっています。1人は韓国籍の姜光紀容疑者(20)で4月30日午後3時半ごろ、神奈川県大和市のホテルで身柄を確保され、5月1日未明、逮捕されました。もう一人は、元俳優の若山耀人容疑者(20)で4月30日午後10時半過ぎ千葉県内の知人宅で身柄を確保され、5月1日午前5時ごろ逮捕されました。

 姜容疑者は、身柄を確保された時、知人3人と一緒にいたということですが、この3人は「今回の事件について全く知らなかった」ということです。自ら出頭し、すでに逮捕されている平山綾拳容疑者(25)らとコンビニで合流する前の足取りなどを防犯カメラなどから調べ、姜容疑者が浮上したということで、平山容疑者は姜容疑者に「報酬を払った」と話しているということですが、現在捜査中とのことです。宝島さん夫妻との接点は今のところ“ない”ということです。

 若山耀人容疑者は、かつて人気子役として活躍していて、2014年の大河ドラマ「軍師官兵衛」に出演。主人公の幼少時代を演じ話題になりました。また、出身地である岐阜県美濃加茂市の魅力を全国に発信する「もっとみのかも夢大使」にも就任していたということです。数々の人気映画やドラマに出演をしていましたが、近年は公の場からは姿を消していました。

Q.この実行役の2人が相次いで身柄確保から逮捕されたということは、前からわかっていたということでしょうか?
(元警視庁刑事 吉川祐二氏)
「平山容疑者が交番に出頭したときもそうですが、防犯カメラなどの解析をいろんな部分で行っていたと考えられます。そこから、ある程度絞り込んでいたと思います。ただ、事前に発表することにより捜査に支障をきたすことがありますのでおさえていたと考えられます。数日前から逮捕状を取って指名手配をしていたと思います」

Q.今回の2人も「死体損壊」の疑いで逮捕なんですね?
(元大阪地検・検事 亀井正貴弁護士)
「出ている凶器・道具では『死体損壊』までしか推認できないもので、殺人に結びつくものではありません」
Q.誰が殺人を実行したのかというのは、これからですか?
(亀井弁護士)
「これからです。私はまだ2割くらいしか出てきていないと考えています」

佐々木容疑者は「上との関係の“ブロック役”」逮捕された4人の関係性とは?

 すでに逮捕されている平山容疑者は、2人を「カン」「きらと」と呼んでいて、フルネームを知らなかったといいます。去年の年末から年明けに知り合い、何度か酒を飲む関係だったということです。

Q.SNSで犯罪などに関わる事で繋ながったということもあるのでしょうか?
(吉川氏)
「一番考えられるのは、知り合った当初は“遊び仲間的感覚”だったと思います。その遊び仲間が、いろんな話をしていくうちに『お金が欲しい』だとか『闇バイトでお金が稼げるんじゃないか』とか考え、少しずつ“半グレ”化して行ったグループではないかとみています」

 平山容疑者は、「実行犯が『遺体を焼くなら、誰も来られないような所がいいだろう』と話していた」「事前に購入したガソリンなどが何に使われるか、なんとなく分かっていた」という趣旨の供述をしています。また、「自分は現場に行っていない」ということです。

Q.平山容疑者の出頭の理由はなんでしょうか?
(吉川氏)
「今回の平山容疑者の出頭については、自分の車を貸しているということで、防犯カメラの映像などから、車の所有者である自分のところにはすぐに捜査機関が来るだろうと考えて、その前に“言い訳”のために警察に出頭してきたというのも十分考えられます」

Q.ホームセンターでガソリン携行缶や着火剤を買って、ガソリンスタンドでガソリンを購入。その後、結束バンドや粘着テープを手に入れて、実行役とコンビニで合流して自分の車を貸しているなど、すぐ足がつくのが分かりそうなもので、非常に幼稚に見えますが?
(亀井弁護士)
「非常に幼稚です。彼の中では『死体遺棄』止まりというのがあったかもしれません。実行役ではなくてほう助的な立場であるということをアピールできるということです。事前に出頭することは関係者に話しているかもしれません」

 同じく「死体損壊」の疑いで逮捕されている、佐々木光容疑者(28)は平山容疑者が供述しているところの“指示役A”とみられています。4月28日那覇空港で身柄を確保された際には福岡行きのチケットを購入していたということで、逃亡の可能性もありました。

Q.福岡というのは佐々木容疑者の地元ですが、地元というのは当然、捜査機関もマークしていると考えられるのに、計画性が感じられない行き当たりばったりに思えるのですが?
(吉川氏)
「この佐々木容疑者の動きは本当に“行き当たりばったり”という言葉がぴったりな気がします。福岡に帰るというより、福岡に立ち寄ってほかに転々としようとしていたとも考えられます。そして、逃げるということは自分たちのところに捜査が来て、自分たちの上の人間については切り離しておきたいという考えがあったのではないでしょうか」

 佐々木容疑者は「上の人間から受け取った報酬をそのまま綾拳(平山容疑者)に渡した。自分は報酬を全く受け取っていない」と話しています。一方で身柄確保時には現金数百万円を所持していたということです。新たな供述によりますと「4月上旬に非通知で電話がかかってきて、遺体の処理を依頼され、報酬を約束された」ということです。しかし、警視庁は「裏付けが取れていない」としています。

Q.報酬は全く受け取っていないなどというのは信じがたいですね?
(亀井弁護士)
「信じがたいです。おそらく佐々木容疑者は上との関係の“ブロック役”です」

 平山容疑者は、これまでの供述で「Aさん(佐々木容疑者とみられる)に携帯電話は取られた」と話していました。そして佐々木容疑者は「ある人に言われて(平山容疑者の携帯電話を)コインロッカーに置いた。あとは知らない」と話していたといいます。佐々木容疑者の身柄確保時には複数のスマートフォンを所持していたということですが、この中に平山容疑者のものが含まれていたかは分かっていません。

Q.コインロッカーに置いておけというのは、典型的な証拠隠滅ということでしょうか?
(吉川氏)
「コインロッカーに入れたということが事実だとすれば、コインロッカーというところは防犯カメラが多く設置されている場所でもあります。そこにスマートフォンを取りに来た人間は何らかの関わりがあるという見立てができます。ある意味犯人側としては『やらなければよかった』事実だと思います」
Q.コインロッカーにある防犯カメラから更なる指示役が特定できる可能性があるということですか?
(吉川氏)
「十分考えられます。そのような捜査を警察はしていきます」

佐々木容疑者の上に「もう一つ“実行の主犯”的な者がいる可能性」犯人の動機は『「感情」ではなく「経済的利益」』

 宝島夫妻殺害の動機は何か?亀井弁護士は「“恨み”や“憎しみ”など主犯の『感情』が動機となっている事件ではないと見る」としています。

Q.何が動機なのでしょうか?
(亀井弁護士)
「経済目的だと思います。今回、千数百万円を犯行のために使っているわけですから、千数百万円を普通に出せる人間が主犯格です。千数百万円を犯行のために使うとなると、それに見合うような経済的利益、億単位の金銭だとか利権だとかが想定されるのではないかと思います」
Q.殺害により経済的利益を得られる人間の犯行だということですか?
(亀井弁護士)
「そう思います。短期的な利益ではないかと思います。例えば莫大な現金をどこかに隠しているだとか、競合関係で宝島さんを排除することで大きな利権が短期で得られるだとかがイメージできます」

(吉川氏)
「今回の事件に関しては、千数百万円報酬というものが出てきた時点で方向が定まったと思います。ただ、この千数百万円が実際に動いたのかどうかは、確認が取れていません。平山容疑者は実行役の2人に渡したと言っていますので、2人の供述から千数百万円の存在は明らかになってくると思います。もしこの千数百万円が使われているとするならば、上にいる人間は相当潤沢に金を持っている、または今後大きな利益が取れると踏んで犯行に至ったと考えられます」

Q.計画をした人間が、佐々木容疑者に投げた(任せた)ということでしょうか?
(亀井弁護士)
「佐々木容疑者の上にもう一つ“実行の主犯”的な者がいる可能性もあります。ただ、計画性は別として、組織的な連携はとっています。あとは、主犯の居場所が被害者の生活圏や人間関係の内側なのか外側なのか、その解明がポイントだと思います」

Q.宝島夫妻を誰が殺害したのかはまだ出てきていませんが?
(吉川氏)
「宝島夫妻がなくなることによって、誰が利益を得るのかが重要だと思います」
(亀井弁護士)
「検察は『殺人』の立件には凶器や供述など、さらなる“証拠”が必要と考えていると思います」

(「情報ライブミヤネ屋」2024年5月1日放送)