【速報】兵庫・斎藤知事 県議会百条委員会“最後の証人尋問”始まる 内部告発文書の扱いは公益通報者保護違反か?斎藤知事は改めて法律違反を否定「当時の対応に問題はなかった」
兵庫県の斎藤元彦知事の“パワハラ”疑惑などを調査する県議会の百条委員会で斎藤知事の証人尋問が行われています。斎藤知事に対する「最後の証人尋問」で、知事が一連の疑惑について何を語るかに注目が集まっています。
■”最後の証人尋問”始まる…告発文は公益通報保護対象か? 過去の証言をきょうも繰り返す「保護要件には当たらない」
斎藤知事への証人尋問は午後3時から始まりました。
斎藤知事は落ち着いた様子で百条委員会の会場に現れて証人の席に座り、尋問が始まりました。
まず委員からは、過去の証人尋問で斎藤知事が「告発文書は“民間”から入手した」と発言したことに対して「その“民間 ”とは誰なのか?」と尋ねた際に、知事が「それは後ほど事務局に言います」と発言したものの、結局その後事務局に報告がなかったことに触れ、改めて「(文書を入手した“民間”とはいったい誰なのか?」と尋ねました。しかし斎藤氏は「それについては後で事務局に言います」と、前回とまったく同じ回答を繰り返しました。
一方、告発した幹部に対する処分について、知事が当時の総務部長に対して前倒しでの処分を求めた際、「知事が“風向きを変えたい”と話していた」という証言があることについて問われると、「私は“風向きを変えたい”と言ったことはない」として、 他の証人の証言内容を真っ向から否定しました。
その後、委員からは、告発文が「公益通報者保護制度」の保護要件に当たるのかどうかに質問が集中しました。
斎藤知事や側近幹部が、告発文を“クーデターや怪文書だ”として知事から幹部に対し「徹底的に調べる」よう指示を出したうえで、その後告発した元幹部を保護することなく懲戒処分にしたことについては、委員から「改めて聞くが、公益通報における保護要件には当たらないという考えは今も変わりはないか?」と問わ れると、斎藤知事は「法律上も公益(外部)通報の保護要件には 当たらない」「当時の対応に問題はなかったと思っている」「真実でないことが書かれていて真実相当性がない。誹謗中傷性が高い。証拠も添付されていない。(元幹部への) 聴取でも噂話を集めたもので新たな証拠なども出てこなかった」として、これ までの尋問における自らの主張をきょうも繰り返しました。
委員からは「委員会で証言した専門家からも“通報者をまずは保護すべきだった”という指摘があるがそれはどう思うか?」と問われると、斎藤知事は「そのような指摘があることは認識している。一方で一連の対応は問題ない、という専門家の見解もある。 繰り返しになるが私としては(告発文は)保護対象には当たらないと考えている」と話しました。
午後1時半からは斎藤知事の当時の最側近の一人である、片山安孝 元副知事が再び証人として出席しました。
今年9月の百条委員会では、片山氏は告発文が今年3月に一部のマスコミなどに配布された際に、公益通報者保護法が禁止する告発者の特定をした理由について、「3月21日に知事に呼ばれ、告発文書の現物を見せられた。知事からは(誰がどのような目的でこの文書を出したのか)‟徹底的に調べてくれ”と言われた」と述べていました。
その際にどう感じたかについては、「(告発文書には)知事のパワハラが含まれていたので、これはやっかいなことになるなと思った」と話しました。
元幹部による告発文書については、当初から文書の存在を知る複数の幹部職員から、第三者委員会を立ち上げるべきだという意見が多く出たにもかかわらず、内部調査となったことについては、『第三者委員会について(別の幹部が)知事に確認すると、知事に「時間がかかるよね」と否定された』と明かしたほか、自身の文書への第一印象については『文書には「クーデター」「革命」などの文字があり、(告発者には)斎藤県政に対するダメージを与える認識があるのではと思った。知事を排除しようとしている不正なものなので、早く見つけないといけないと思った』と証言しました。
文書が告発者の個人情報を保護する「公益通報者保護制度」の対象になるとは思わなかったのか?との問いかけには、『そうは思いませんでした』と述べていました。
午前は、米ニューヨーク州の弁護士資格を持ち、公益通報制度や、内部通報についての本を複数執筆している「のぞみ総合法律事務所」の結城大輔弁護士が参考人として招致され、公益通報者保護に関する意見を述べました。
結城弁護士は、告発文書で指摘された“7つの疑惑”や告発文を作成した県の元幹部を公益通報制度の保護対象とするべきだったかどうかについて、『(公益通報制度では)“通報者の不利益になるような取り扱いはしない”というのが前提。その点、今回の県の対応は、告発者に不利益な扱いをしたということになるのではないか』として、告発者の元幹部を懲戒処分とした県の対応などに疑問を呈し、保護対象とすべきだったとの見解を述べました。
■発端となる告発文書がマスコミなどに配布されてから約9か月 激動の1年となった兵庫県
パワハラ…おねだり…キックバック…7項目にわたる斎藤知事の疑惑を告発する文書がマスコミなどに配布され、明るみに出たのは3月のことでした。
6月には県議会で文書問題を調査する”百条委員会”が設置された一方で、7月には百条委員会の証人尋問を控えていた文書作成者の県の元幹部が「死をもって抗議する」 という趣旨のメッセージを残して死亡しました。
その後、県議会では知事の不信任案が提出され、全会一致で可決。
11月、斎藤知事が失職を選択したことから実施された知事選で、再選を果たし、知事に返り咲きました。
激動の1年となった兵庫県は25日、節目を迎え、約6か月にわたって調査を続けてきた百条委員会が斎藤知事と片山元副知事に対する「証人尋問」を行い、一連の調査を終えます。
■「真実が明らかになることを期待する」「自分の口で語ってほしい」傍聴席求め100人以上が長蛇の列
「最後の証人尋問」では斎藤知事や片山副知事が、それぞれ告発文書で指摘された”7つの疑惑”や告発文を作成した県の元幹部を公益通報制度の保護対象とするべきだったかどうかなどについて尋問が実施されます。
注目の証人尋問を傍聴しようと、県庁には朝から100人を超える市民らが列をつくり、「これまで弁護士など第三者から説明すると繰り返してきたので、自分の口で語ってほしい」「憶測が多く、何が真実かわからなくなっている。真実が明らかになることを期待する」「百条委員会はバッシングに負けずに、真実の究明を頑張ってほしい」と話しました。
■これまでの参考人招致 「独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図」過去には参考人の大学教授が断罪
百条委員会ではこれまでに公益通報制度の専門家として弁護士や大学教授らを招致していて、9月6日の委員会では上智大学の奥山俊宏教授がで県の一連の対応について、「公益通報者保護法に違反する」と指摘し「独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった」と断罪しました。
■「確証までは得られなかった」県内部の調査とは違う結果の可能性も?百条委員会、第三者委員会が来年、立て続けに結果公表へ
12月11日、元幹部が4月に行った公益通報に対する県の調査結果が公表されました。
その中で県は、知事が受け取ったとされる贈答品に関して受け取りが職員個人の判断に委ねられていた点が問題だとしたほか、贈答品ではなく貸し出しだったものの貸し出し期間を定めた書類が無かったため、贈答品との誤解を受けた場合があったと指摘。“パワハラ”疑惑については、「業務上の必要性から強い口調で指導することがあった」としたうえで、「パワハラと認められる事案があったとの確証までは得られなかった」と結論付けました。
一方、25日の証人尋問で一連の調査を終える百条委員会は2025年2月に、弁護士で構成される第三者委員会は3月に、それぞれ調査結果を公表する予定です。