【速報】“紀州のドン・ファン”殺人 元妻・須藤早貴被告に検察から被告人質問 覚醒剤入手の経緯についての供述に変化「警察に信じてもらえると思わなかった」死亡後に役員報酬3千万円…「え?と思ったが大丈夫と言われたので貰った」
"紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われている元妻の裁判員裁判は、11日も和歌山地裁で検察による被告人質問が行われ、覚醒剤入手の経緯について、捜査段階と公判で供述が変遷していることについて「警察には信じてもらえないと思った」と話し、改めて事件への関与を否定しました。
須藤早貴被告(28)は2018年、和歌山県田辺市の自宅で、野崎幸助さん(当時77)に何らかの方法で致死量を超える覚醒剤を摂取させ殺害したとされています。
11月8日に行われた被告人質問で須藤被告は、事件の2か月ほど前に『覚醒剤を買ってきてくれませんか』と野崎さんに言わたと語り、野崎さん殺害に関して改めて無罪を主張。また、以前から検察側が野崎さん殺害の動機を離婚によって遺産がもらえなくなるからだと指摘していることに対して、須藤被告は「離婚するならどうぞって感じですし」と話し、野崎さんにも「結婚生活続けられませんね。離婚します」と電話で伝えたと明かしました。
11日の被告人質問で須藤被告は、黒のスーツ姿にマスク姿で入廷し、落ち着いた様子で被告人席に座りました。
まず8日に続いて、弁護側の被告人質問が行われ、野崎さんが死亡した後に野崎さんの経営する会社の役員に就任した経緯について聞かれると、「会社が大変になったことは知っていた。弁護士に『代表がいないのでなってほしい』と言われ、役員報酬を3000万円もらえることになり、『え?』となったが、『法律上問題ない』と言われ、『ありがとうございます』と言って(報酬を)もらいました」と話しました。
また、検察側が「財産目当ての犯行だ」と主張していることに対しては「“遺産目当て”と言われていることを隠していないし、社長本人も『1千万円で結婚してくれ』と言っていた。『遺産をもらってほしい』とも言われていたので、遺産目当てと言うことを誰にも隠していないです」と話しました。
弁護側が質問の最後に「あなたが用意した覚醒剤を野崎さんに口から摂取させて殺したといわれていますが、そういう事実はありますか?」と聞くと、須藤被告は「一切ありません」と、はっきりとした口調で答えました。
午後から行われた検察側の被告人質問では、時折、言葉に詰まったり、沈黙したりする場面もあったものの、須藤被告は検察側の質問に対し、落ち着いた様子で答えていきました。
8日の被告人質問で、須藤被告は、事件の2か月ほど前に野崎さんに「覚醒剤を買ってきてと頼まれた」と話していましたが、当初の警察の捜査段階の取り調べには須藤被告が覚醒剤を入手した経緯について「(私は)買っていないし(野崎さんが)関わっているとも思わなかった」と答えていたことが検察によって明かされました。
この点について検察側が「(当初から覚醒剤を)買って渡したと言えば良かったのではないか?」と聞くと、須藤被告は「警察にそう言ったところで信じてもらえると思わなかった。怖くて言えなかった」と答えました。
11日の公判は午後5時前に終了しました。次回15日も須藤被告への被告人質問が続けられる予定です。
犯行を示す直接的な証拠がない中、須藤被告や弁護側の主張に対し、検察側がどう切り込むめるのかが焦点となります。
判決は、12月12日に言い渡される予定です。