【新証言】野崎社長が「覚醒剤を買ってきてくれないか」被告の元妻が証言 "紀州のドン・ファン”裁判
"紀州のドン・ファン”と呼ばれた資産家の男性を殺害した罪に問われている元妻の裁判員裁判は、8日から被告人質問が始まり、元妻が男性から「覚醒剤を買ってきてくれないか」と言われたと語りました。中継です。
(取材・報告=澤井 燿平 記者)
裁判は午前10時40分ごろから始まり、弁護側の被告人質問が続いています。元妻は、黒のスーツ姿で法廷に姿を見せ、50歳以上年のかけ離れた男性との出会いや、いびつな夫婦関係について、弁護人の問いに はきはきとした口調で答えていました。
須藤早貴被告(28)は、2018年、和歌山県田辺市の自宅で野崎幸助さん(当時77歳)に何らかの方法で致死量を超える覚醒剤を摂取させ殺害したとされています。須藤被告は「私は社長を殺していませんし、覚醒剤を飲ませたこともありません」と無罪を主張。
犯行を示す直接的な証拠がない中、これまでの裁判には覚醒剤の“密売人”とされる男ら関係者28人が出廷して証言したほか、須藤被告が「財産目当てで結婚した」などとグループチャットで投稿していたことなどが明らかになっています。
被告人質問で須藤被告は何を語ったのか。
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55歳年上の資産家・野崎幸助さんを殺害した罪に問われている元妻の須藤早貴被告。黒のスーツ姿で法廷に立ち、弁護人の問いに対し、はきはきとした口調で答えました。
須藤早貴被告
「100万円をもらう結婚なので普通と違う。 愛し合っていない」
逮捕から3年以上かかった注目の裁判員裁判。目撃者などの直接証拠が乏しい中、 検察側は状況証拠を重ねるべく、これまでに28人の証人尋問を実施。覚醒剤の“密売人”とされる男や、2人と交友のあった関係者らが証言してきました。
覚醒剤の“密売人”とされる男
「須藤被告とみられる女性の声で、『氷砂糖(覚醒剤の隠語)を3グラム、和歌山まで持ってきてほしい』といわれた。運転手代も含めて15万円で取引した」
また、須藤被告が「妻に全財産を残したい場合の遺言書の文例」などのウェブサイトを見ていたほか、「完全犯罪」「薬物」「老人・死亡」などと検索していたことも明らかになっています。
8日始まった被告人質問で、須藤被告の口からは、野崎さんと結婚するまでの“なれそめ”が語られました。
須藤被告
「知り合いから『雑誌に載っている会社の社長』と紹介され電話をかけました。(野崎さんから)『和歌山に来ませんか』と言われ、『12月10日なら行けます』と答えました。野崎さんを知らなかったので、『野崎』と検索し、動画などを見ました。1日に女性を何度も抱く、そんな人なんだと思いました」
初めて会ったときは…
須藤被告
「100万円をもらいました。『結婚して』と言われ、『毎月くれるならいいよ』と答えました」
弁護人
「野崎さんとの関係は?」
須藤被告
「ラッキー。うまく付き合っていこうと」
そして、結婚を届け出た際には…
須藤被告
「100万円もらう結婚なので普通と違う。愛し合っていない。周りには言わないほうがいい」
家族や友人にも結婚したことを伏せていたということです。
その後、野崎さんからたびたび肉体関係を迫られるも、拒否していたという被告。旅行中、野崎さんからの連絡に返答しないでいると…
須藤被告
「『金を受けとることは自由を失うことだ』とメッセージが来ました。やべえやつだなと」
弁護人
「野崎さんのベッドに寝ることはありましたか?」
須藤被告
「昼と夜の食事後に添い寝を求められました。(性行為ができず)野崎さんに『もうダメだから覚醒剤を買ってきてくれないか』と頼まれました。『お金くれるならいいよ』と言うと、20万円渡されました」
弁護人
「すぐに買いました?」
須藤被告
「わからなくて放置しました。『あれどうなった?』と野崎さんから言われ、『薬物』『裏掲示板』と検索しました」
その後、覚醒剤の“密売人”とされる人物と連絡を取り…
須藤被告
「『1グラム10万円』と言われました。野崎さんからもらったお金の範囲内だったので買おうと」
野崎さんが亡くなったことについて、須藤被告が語ったことは…。
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(澤井燿平 記者)
須藤被告は、覚せい剤を買ってくるよう野崎さんに頼まれたと証言しましたが、さらに、買ってきた覚醒剤を渡すと、「『あれは使い物にならん。ニセモノや。もうお前には頼まん』と言われた」ことも証言しました。
また、検察側は以前から、野崎さん殺害の動機を「離婚によって遺産がもらえなくなるから」だと指摘してきましたが、8日の被告人質問では、離婚話の経緯についても質問が及び、須藤被告は「離婚するなら どうぞって感じですし」と話し、野崎さんにも「結婚生活続けられませんね。離婚します」と電話で伝えたことがあることを新たに明かしました。
被告人質問は8日を含めて3日間予定されていますが、裁判員裁判なので、検察側・弁護側それぞれが、どこまで裁判員を納得させられるかがポイントとなります。