注目の輿石氏の発言に変化…国会、解散は?
15日に行われた民主、自民、公明3党の幹事長会談。キーマンと目されるのは民主党を束ねる輿石東幹事長です。会談で、輿石幹事長は、今月末にも臨時国会を開きたいとの考えを示しました。終了後の会見でも「今月末を頭に置きながら、臨時国会も開催してまいりたい」と語りました。
一方、自民党・石破幹事長は会談後、「国会を開くにあたっては環境整備が必要である。(首相のいう)“近いうち”についてどのように考えているか(民主党側からの)認識の表明があるべきである」と語りました。会談では、野田首相が「近いうち」と発言した解散の時期について、改めて年内の解散を約束するよう求めました。お互いの主張を述べあい、結論の出なかった15日の会談。しかし、ここ数日の輿石幹事長の発言に注目すると変化が現れていたのです。
一つ目の変化は「臨時国会の召集時期」についてです。これまで、輿石氏は周辺に「臨時国会の召集についてはゆっくり考えればいいんだ」と話すなど、いつ臨時国会を召集するかについては慎重に検討する姿勢でした。また、野田首相が臨時国会召集に向けて呼びかけた自民、公明両党との党首会談や幹事長会談にも積極的ではありませんでした。ところが14日、「できるだけ早く、国会を開会した方がよい。国民のために。(党首会談は)合意できれば週内でも良いと思っています」と、臨時国会を今月末にも開くため、今週にも党首会談を開く方向で進めたい、と初めて明言したのです。野党などからは「輿石氏は解散を先送りするため、臨時国会の召集を引き延ばそうとしている」との批判が出始めており、こうした批判を意識したことも変化の背景にあるとの指摘もあります。
二つ目の変化は「選挙制度改革への対応」についてです。14日、輿石幹事長は、記者からの「全党の合意があれば定数削減は置いておいて、0増5減を先行するのか」という問いかけに「そういうことも含めて検討する余地はあるでしょう」と語りました。選挙制度改革をめぐって民主党はもともと「議員自らが身を切る姿勢を示す」ために、いわゆる「0増5減」の一票の格差是正とセットで国会議員の定数削減を行うべきと主張していました。しかし、これについても輿石氏は自民党が求める「0増5減」の先行実施を検討する姿勢を見せたのです。自民党の協力を引き出すのがねらいとみられます。
そして、三つ目の変化は「“近いうち解散”への発言」です。輿石氏は、15日の会談で野田首相の「近いうちに解散」との発言を党首会談の場で改めて説明することについて「真剣に考えている」と述べました。以前は「近いうち解散」についてはコメント自体を避けることが多かったことから、自民党幹部も、15日の輿石氏の発言を「一歩前進だ」と評価しました。
輿石幹事長が発言を変化させたのには、なにかきっかけがあったのでしょうか。実は、輿石幹事長が発言を変化させ始めたその前の日に、約30分間、野田首相と会談していました。これまでに野田首相は予算の裏づけとなる赤字国債発行法案が成立しないと、国民生活に悪影響が出ると危機感を表しています。赤字国債発行法案をできるだけ早く成立させるため、輿石幹事長に臨時国会を早く開くよう指示したものとみられています。
ただ、野田首相は、あくまでも解散時期を明らかにすることには否定的なままで、自民、公明両党との間で歩み寄りが見られるかは不透明な情勢です。今週にも行われる党首会談。野田首相は解散時期についてどのような姿勢を示すのでしょうか。