新海誠、ベルリン国際映画祭で東日本大震災に言及「まだ心も土地も復興していない」
映画『君の名は。』や『天気の子』で知られる新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』(全国公開中/配給:東宝)は、ベルリン国際映画祭の最高賞を競う、コンペティション部門に正式出品されています。
今作は日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく少女・すずめ(声:原菜乃華さん)が、扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年・草太(声:SixTONES・松村北斗さん)とともに冒険を通して成長していく物語です。公開から103日で、観客動員1036万人、興行収入137億円を突破し、世界199の国と地域で配給が決定しています。
■12年前の東日本大震災に向き合う姿を世界に発信
記者会見で“今作で描きたかったこと”を聞かれた新海監督は「現代の日本を舞台にした冒険物語を作りたいと思いました」と明かし「そんな中で(主人公の)すずめがどこにたどり着くべきかと考えた時に、12年前に起きた東日本大震災の場所にたどり着くべきなのではないかと考えました。すずめの戸締まりという映画は、現代日本で増えつつある人のいなくなってしまった廃虚を旅しながら、12年前に起きた災害にすずめ自身が向き合うような物語として、エンターテインメントとしてつくったつもりです」と語りました。
コンペティション部門の正式出品は、日本アニメーションとしては『千と千尋の神隠し』以来21年ぶり。当時、新海監督はアニメーションをつくり始めた年だったといい「21年たっていまこの場所に自分たちがいることが信じられません。金熊賞を取れるかどうかは、全く自信がないのですが、ただ今回僕たちがこの場所に来たことが、日本で12年前に起きた東日本大震災という出来事が、いまだに日本人の心の中に残っている、まだ心も土地も復興していないということをみなさんに知っていただけるとても貴重な機会になるのではと思っています」と語りました。
受賞結果は、日本時間26日午前3時からの授賞式で発表されます。