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元宝塚トップ娘役・野々すみ花、相手役からサプライズお手紙に感激 「ゆうひさんに恥じない自分でいよう」

2022年3月17日 20:05
元宝塚トップ娘役・野々すみ花、相手役からサプライズお手紙に感激 「ゆうひさんに恥じない自分でいよう」

 宝塚歌劇団・元宙組トップ娘役の野々すみ花さん。卓越した演技力で観客を魅了し、退団後はリポーターや事業家など、チャレンジし続けている。野々すみ花さんの“その後”に、熱烈な宝塚ファンである日本テレビアナウンサーの安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が迫った。(・ 中・ 編の中編)  

■役作りへの向き合い方

中島アナ:「野々すみ花さんってどんな人?」。愛月ひかるさん(元星組男役スター)に聞きました。

<愛月ひかるさん>
「何事にもストイックな方だなという印象ですね。もう本当に大尊敬する役者さんです。私もお芝居が好きなので、娘役さんにたまに相談されたりするんです。『役をどうやって見せたらいいですかね』とか『お芝居どうしたらいいですかね』と。そのときに野々さんのお芝居を見て勉強したらいいんじゃないとか言ってしまうぐらい、役者としてとても尊敬しています」

「でも普段のちょっと天然なところ、抜けているところもかわいくて大好きでした。下級生がこんなことを言っていいのかわからないですけれども」

安藤アナ:退団されたばかりの愛月さんですが、役作りの参考には『野々さんの作品を見ればいい』と。そう伝えていたそうなんです。

「そんなこと言ってくれていたんですね。びっくりです」

安藤アナ:役作りに対してはどう向き合っていたのですか。

「入団して間もない頃は主人公の方の幼少時代、男の子の役を演じることが多かったんです。自分で考えてもわからないので、休みの日に宝塚市内にある幼稚園や保育園の園庭を見に行っていました。子どもたちが元気いっぱい遊んでいる様子を見て、『子どもってこう動くんだな』『こういうときはこういう反応するんだな』と」

「『ファントム』という作品では仮面を被っている役がありました。水面を見るシーンがあったので、宝塚大劇場のすぐ横を流れている川で、(川面を)のぞいて練習していました」

中島アナ:妊婦役もとても多かったですね。

「これまで8人か9人くらい(役で)身ごもったことがあるんです(笑)。妊婦役のときには妊娠・出産辞典を読んだり、産婦人科に行かせていただいたり。許可をいただいて待合室の隅でずっと座って妊婦さんのことを見せてもらっていましたね。頭で考えることが得意ではなかったので、見た印象や体で感じたものが(芝居に)どうつながっていくかなと試行錯誤しながらやっていました」

■相手役・大空ゆうひさんからの手紙

安藤アナ:特に思い出に残っている作品はありますか。

「相手役だった大空ゆうひさんとの出会いの作品『銀ちゃんの恋』。つかこうへいさんの『蒲田行進曲』が原作で、宝塚の作品では異色とされている作品です。昭和の古き良き時代、“芝居バカ”たちの様子が描かれていて、とても自分の魂がマッチしたというか、入り込みやすかった。妊婦役で印象的な作品です」

中島アナ:実はその相手役の大空ゆうひさんからお手紙を預かりしております。

「え! 本当のサプライズで汗が噴き出してきました」

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すみかへ

久しぶりに手紙を書きます。
退団の時以来かな。
今年はちょうど宝塚を卒業して10年目ですね。
この10年、女優としての活動、結婚、出産も経験し、さらに自分で様々な活動の場を広げながら人生をぐんぐん進んでいるすみかをいつも眩しく見ています。
すみかと初めて一緒に芝居をしたのは、花組時代『銀ちゃんの恋』。まだ初々しくて、でも舞台の上では大胆で役の小夏にしか見えなくて、なんて子だ!と思いました。もう可愛くて可愛くてしょうがなかった!笑
私がトップになる直前に突然すみかがあらわれた。
奇跡のような縁だよね。
宙組に組替えでトップコンビとして就任。
落下傘トップというらしいです、知っていた?
落下傘のように知らない土地に2人で着地して、私も不安だったけど、その何倍も不安やプレッシャーを感じているだろうすみかのおかげで私がしっかりしなくちゃ、と強くなれていたと思います。実は支えてもらっていたんだろうな。
すみかと過ごした宙組での3年間、今思い出すと本当に自分だったのかなと思うくらい人生の中で特別な濃い、夢みたいな時間です。
あの頃の私、鬼コーチみたいにきびしかったよね。
ほんと、よく耐えてくれてありがとう。信頼しすぎて大事に思いすぎて、思いを全部ぶつけてしまったけど、毎公演を舞台人としてヒリヒリと新鮮に過ごしたかったという気持ちは今も変わらないです。
最後に…『誰がために鐘はなる』でバッサリ髪を切ったすみかのあたまを撫でたときのタワシのような感触が好きでした。(笑うとこね!)

いつも何が飛び出すかわからない貴女。今後もきっと何度も私や周りの人達を驚かせてくれたり笑わせてくれるんだろうなと楽しみにしています。
退団10周年だし、今年はゆっくり会ってお茶でもしましょう!
では身体に気をつけて。

   ゆうひより
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「ゆうひさん、ありがとうございます。そのお手紙、私死ぬとき一緒に持っていっていいですか。うれしいです。力が抜けてしまって、なんてお答えしていいか分からないんですけれど、当時を思い出しました。ヒリヒリした気持ちで舞台を務めたかったという思いは今も変わりませんとおっしゃっていたのが印象的でした」

「まさにヒリヒリしていました。そのヒリヒリは、辛くて苦しいということではなくて。1つの作品を毎日毎日2000人以上のお客様が来てくださる。最初で最後かもしれないし、何回もリピートしてくださっているかもしれないですけども、そのとき来てくださるお客様に最高のものを届ける。それを(大空さんは)一番に考えていらした。そのためにはなあなあになってはいけない。本当に全神経を集中させながら向き合ってきた期間は、相手役として私も本当に経験できてよかったなと思いますね」

■ゆうひさんに恥じない自分でいよう

安藤アナ:もしよろしければ、ゆうひさんにメッセージを。

「大空ゆうひ様。大変ご無沙汰しております。と言いながら連絡はちょこちょこ取らせていただいているんですけども、この度はお手紙いただいてどうもありがとうございました」

「私は卒業してから俳優のお仕事やレポーター、いろんなことに挑戦させていただいているんですけれども、何かを始めるときにゆうひさんだったらどう思われるかな、ゆうひさんに褒めてもらいたいなという気持ちはやっぱり心のどこかにあって。自分が素敵な番組に出させてもらったときはお時間があれば見てくださいと勝手に連絡させていただいています」

「3年間ともに過ごして終わりではなくて、その後の人生いつもどこかにゆうひさんという存在があって、ゆうひさんに恥じない自分でいようという思いがあります。本当に毎日感謝しています。ゆうひさんは、職人さんのように一つのことを極めてらっしゃる。私とはまた違った道を進んでいらっしゃると思いますが、本当に心から尊敬しています。いつまでもお元気で健やかにお過ごしください。本当にありがとうございました」

後編に続 く)

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アプレジェンヌ 〜日テレ大劇場へようこそ〜』は日テレNEWS24のシリーズ企画。元タカラジェンヌをお招きし、日本テレビアナウンサーで熱烈な宝塚ファンである、安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が、ゲストの宝塚時代・退団後の生き方に迫ります。次回は元花組トップスターの真飛聖さんです。

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