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8月25日は『即席ラーメン記念日』 日本が世界に誇る即席ラーメンの歴史 進化は宇宙レベルへ

2023年8月25日 22:05
8月25日は『即席ラーメン記念日』 日本が世界に誇る即席ラーメンの歴史 進化は宇宙レベルへ
世界初の即席ラーメン『チキンラーメン』(1958年) 画像提供:日清食品
8月25日は『即席ラーメン記念日』。1958年の8月25日に、日本で初めて世界初の即席麺『チキンラーメン』が誕生して今年で65周年。日本が世界に誇る即席麺の開発の歴史をたどりました。

即席ラーメンを開発したのは、日清食品創業者の安藤百福さん。終戦後の闇市で、1杯のラーメンを求めて屋台に長い行列を作る人々の姿を見て、日本人が麺類好きであることを実感すると同時に、この行列に大きな需要が隠されていることを感じたといいます。

その後、自宅の裏庭に建てた小屋で、“お湯さえあれば家庭ですぐ食べられるラーメン”の研究をたった一人で始めた安藤さん。“麺を長期保存するには、どうやって乾燥させればよいのか”、“お湯を注いですぐ食べられるようにするにはどうすればよいのか”、この保存性と簡便性の実現こそが、即席ラーメンの開発における最も高い壁だったそうです。

アイデアのきっかけは、安藤さんの妻が台所で、てんぷらを揚げていた時でした。てんぷら鍋の中で、熱い油の中に入れられた小麦粉の衣が、泡を立てながら水分をはじき出しているのを見た安藤さんが、「これだ!」とひらめき、即席ラーメンの基本となる製造技術『瞬間油熱乾燥法』にたどりついたといいます。

1958年に登場した『チキンラーメン』は、今と昔で中身はほとんど変わっておらず、発売当初は即席ラーメンがどんなものか誰も知らなかったそうで、パッケージに卵形の透明な“窓”をつけて、中の麺が見えるようにしていたということです。

さらに、即席ラーメンの技術は進んでいき、従来の“味付け麺“より、格段に味の良い『スープ別添え方式』を採用したのが、1962年に明星食品から発売された『支那筍入 明星ラーメン』。味付けタイプに比べて手間がかかるものの、麺やスープの味わいが深まり、他の具材を加えることが可能になったことが好感を得たそうです。

即席ラーメンの高品質化は、やがてノンフライ麺(非油揚げめん)を誕生させました。日本即席食品工業協会によると、ブームの口火を切ったのは、1968年にダイヤ食品(明星食品の子会社)が発売した『サッポロ柳めん』。

また明星食品によると、ノンフライ麺の製造実験で、電熱器でゆで麺を乾かしてみたところ、2~3分できれいに乾燥。さらに、米菓用乾燥機の技術を応用することでノンフライ麺を完成させ、1969年に『明星中麺』を発売しました。

さらに、この即席ラーメンは、油揚げ麺のような油脂の劣化がなく、食感が生麺により近いこと、また油脂分の旨味を補うための『液体スープ』の持ち味を生かせるなど、利点が多かったそうです。(日本即席食品工業協会より)

これまで袋で包装されていた即席ラーメンに対し、1971年に日清食品が、発泡スチロールの容器と一体化した『カップヌードル』を発売しました。創業者の安藤百福さんが、欧米を視察した際に現地の人が『チキンラーメン』を小さく割って、紙コップに入れ、湯を注いで食べたことから発想を得たといいます。

そして、世界中の人に親しまれるようになった、日本発の簡易で高品質の即席ラーメンは、世界を飛び出しました。2005年には、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗した宇宙飛行士・野口聡一さんとともに、即席ラーメンが宇宙に旅立ちました。人類として初めて宇宙空間で即席ラーメンを食べた野口さんは、国際宇宙ステーションで「地球で食べるインスタントラーメンの味が、びっくりするぐらい再現されていた」と報告。宇宙食の開発を提案した日清食品創業者で、当時95歳となっていた安藤さんは「人生に遅すぎるということはない」とコメントし、長年の夢を実現させたということです。