映画「汚れた心」（２１日公開、ヴィセンテ・アモリン監督）のジャパンプレミアが１８日、都内で行われ、キャストの伊原剛志（４８）、常盤貴子（４０）、奥田瑛二（６２）が登壇した。

　作品の舞台は、日本に関する正確な情報を入手することが困難だった第２次世界大戦後のブラジル日系移民社会。日本の勝利を疑わない勢力が、敗戦の事実を受け入れた少数派を“汚れた心を持つ国賊”と断罪する衝撃的な実話に光をあて、オールブラジルロケを行った。

　勢力の標的にされる写真館の店主タカハシを演じた伊原は、「今の世の中でも通じる人間の弱さ、洗脳される弱さ」を描いていると語り、「いつの時代でもある出来事ではないのかなと思っています」。

　日系人コミュニティーの精神的リーダーで元日本帝国陸軍の大佐ワタナベを演じた奥田は、役の孤独を表現するため、ブラジルの森の中でストイックな役作りをしたことを回想。
　「森にはヤモリが出てくるんですよ。真っ黒なヤモリと真っ白なヤモリがいて。黒い方に黒ちゃん、白い方に花子という名前を付けまして、それが唯一の僕の慰めだった」と話し、「それが映画の中のワタナベにリンクしている。自分に（役の）孤独を押し込んでいくからつらかった。この人たち（伊原と常盤）は休みの日はリオデジャネイロとかイグアスの滝に行くんですよ、飛行機に乗って。僕は森の中にずっと１人でいましたから。あえてどこにも向かわず、黒と花を友だちにして」とこぼした。