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別所哲也「人生は起承転結より奇想天外」

2013年6月9日 22:01
別所哲也「人生は起承転結より奇想天外」

 アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(SSFF&ASIA)」のアワードセレモニーが9日、都内で行われ、グランプリ作品に「人間の尊厳」が選ばれた。同作は2014年のアカデミー賞短編部門ノミネート選考対象作品になる。

 俳優の別所哲也(47)が代表を務める映画祭で、今年で15回目。日本で唯一のアカデミー賞公認映画祭として、年を追うごとに規模を拡大し、プレゼンスを高めている。

 宝田明(79)、成海璃子(20)、原田眞人監督(63)ら5人の審査員によるオフィシャルコンペティション部門は、激戦の選考になったという。
 原田監督は「15周年の節目ということで、選ぶ方もかなり気合が入りまして、審査会は紛糾いたしました」と内幕を報告。「ただひとつ、全員の意見が一致したことがひとつだけある。それは日本映画がダメだ、ということ。全体を通じて日本作品が弱いですね」とダメ出しした後に「素晴らしかったのはインターナショナルとアジア群ですね」と総評した。

 インターナショナル部門優秀賞は「人間の尊厳」(ガブリエル・ゴーシュ監督)、アジアインターナショナル部門優秀賞は「私の街」(ティナ・パクラバン監督)、ジャパン部門優秀賞は「寿」(田中希美絵監督)。

 成海は、田中監督の受賞に「おめでとうございます、シンガポールで映画を学び、自分の道を進み続けている田中監督に敬意を払いたいと思います」と言葉をおくり、祝福した。

 応募総数4538作品の中から、グランプリに選ばれたのは「人間の尊厳」。
 プレゼンターを務めた宝田は「大変責任のあるワンオブジャッジとして、一瞬の安ど感を今、感じています。長時間多くのフィルムを見ることはしんどいことでして、来年はお断りしようと思います」と笑いを挟み、「グランプリの作品ですが、すべての要素において素晴らしいものがございました、脚本しかり、演出しかり、ユニークで個性的な俳優諸氏の演技しかり、本当に申し分のない作品でした」とたたえた。

 栄光をつかんだゴーシュ監督は「なんて言ったらいいのか分からない。ショック状態で言葉が出てきません。東京でこのような賞をいただき、関係者の皆さま、審査員の皆さま、ありがとうございます。役者の皆さま、プロデューサーの皆さま、すべてに感謝したいと思います」と声を上ずらせながら思いのたけを語った。

 別所は「長い間、お付き合いいただいてありがとうございます。15年前、この映画祭を始めたとき、なんであんなこと始めるんだ、と言われた。ショートフィルムは映画の原石です。俳優としても人間としても成長できた。人生は起承転結より、奇想天外の方が面白い。まだまだ映画祭として成長していきたいと思います」と締めくくった。