【中島芽生の観劇コラム】タカラジェンヌの"その後"に迫る番組『アプレジェンヌ　〜日テレ大劇場へようこそ〜』（日テレNEWS24、Hulu）のMCを務める中島芽生・日本テレビアナウンサーが、取材の舞台裏などをつづります。今回は、宝塚歌劇OGとダンスパフォーマンス集団・GANMIが異色のコラボをするダンス公演『２STEP』の稽古場取材からです。

「公演プログラム」の写真やDVDの特典映像などで、穴が開くほど見ていた、いわゆる「お稽古場」。私たちを魅了する舞台が、どのように作り上げられているのか。その一端を知ったつもりになっていた自分の頬をペシっと叩きたくなるほど、一歩そこに踏み込むと、想像を超えたとんでもない世界が広がっていました。

国内外で活躍するアーティスト集団であるGANMIさんと、7人の宝塚歌劇OGの方々によるDANCE LIVE『２STEP』。5月26日の初日を前にそのお稽古場にアプレジェンヌで潜入させて頂きました。

驚いたのは、次々と変更し、進化していくフォーメーションや振り付け。踊っていく中で、出演者の皆様や振り付けの方など皆さんで意見を出し合い、相談しながら丁寧に、かつスピーディーにひとつひとつのシーンが作り上げられていきます。

「たった今、振り付け全部変わったのに、もうガシガシ踊っている！？」
「えっ、今の指示だけで分かるんだ…！」

あまりの展開の速さに素人の私は目をキョロキョロさせるだけで精一杯でした。

そうした中で「じゃあ音をかけてやってみよう！」の一言で、実際に音楽をかけて通しで踊った時の、圧倒的なパフォーマンスたるや。なかでも特に印象的だったのが、宝塚チーム、 GANMI チーム、それぞれ同じ振り付けで全員が踊るシーンです。

宝塚チームの宇月颯さんをはじめ、磨き抜かれた「どの瞬間も、どこから見ても格好いい」ダンス。そして、まだまだ現役時代の「男役」の風が吹き荒れている飛龍つかささんのチャーミングかつキレのあるダンスや、綾凰華さんのお稽古中にもかかわらずファンサービスたっぷりの笑顔にも心を射抜かれます。

そして、全員のこれでもかと上がる足に、タイミング、角度などもピタッと揃う「これぞ男役芸！」といった格好良さ。

対するGANMI チームはそれぞれが自由で個性的。そしてしなやかでいて躍動感あふれる動きに、全員でひとつの大きな生き物のような「鼓動」を感じました。

互いにどうだカッコいいだろという矜持がぶつかり合いながらも一体となる瞬間、宝塚とGANMIの世界観が見事に「ひとつのパワー」となって私たちの元へと押し寄せてきました。

そしてもうひとつ、とんでもないサプライズが…。
お稽古場を見学している際に、タダならぬオーラを発する人物に自然と目線が吸い寄せられ…。

なんと、そこに湖月わたるさんのお姿が！

その日はお帰りになるところだったのですが、思わず駆け寄り、僭越ながら、ご挨拶をさせて頂きました。

湖月さんと言えば…宝塚の現役時代に舞台上で踊るとついつい目で追ってしまうダイナミックさとオーラに驚いたのを今でも覚えています。その湖月さんが今回振り付けを担当されるという事で、どんな化学反応が生まれるのか楽しみで仕方ありません！

華やかで美しくそして力強い、そんな私たちを魅了する世界の裏側「お稽古場」は、鍛錬の積み重ねの先にしか成り立たない、創造力に満ちた場所でした。

でもきっと、そんな凄さを目の当たりにした私でさえ、実際のステージを見ると、そんな事をすべて忘れて「その瞬間」に没頭させられてしまうんだろうなと。そして、そんな魔法にかけられたくて、私たちはまた劇場に足を運んでしまうのだなと感じた時間でした。