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濱口監督「まじか」アカデミー賞・国際長編映画賞 ロケ地も関係者も歓喜

2022年3月28日 20:56
濱口監督「まじか」アカデミー賞・国際長編映画賞 ロケ地も関係者も歓喜

13年ぶりの快挙です。日本の映画「ドライブ・マイ・カー」が、アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞しました。監督や出演者が喜びの会見を行いました。あのスピルバーグ監督からも祝福されたといいます。

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日本時間午後3時半ごろ、濱口竜介監督(43)と主演の西島秀俊さんたちが会見を行い、喜びの声を語りました。

濱口竜介監督(43)
「まさか、オスカーの授賞式で呼ばれることがあるのか、端的にいうと『まじか!』という気持ちで、本当にありがたいことだと思っています」

西島秀俊さん
「この作品が、国とか言葉をこえて、『みなさん、いろんな方の心に深く響いたんだな』ということを会場で感じてとても幸せです」

「ドライブ・マイ・カー」は、妻を亡くした主人公が女性ドライバーと出会い、人生を見つめ直していく物語です。原作は村上春樹さんの小説で、これまでにカンヌ国際映画祭やゴールデングローブ賞など、数々の受賞を重ねてきました。

受賞後の会見で喜びを語った濱口監督。授賞式ではこんな出来事もありました。

濱口監督(43)
「スピルバーグ監督に会って、スピルバーグ監督は『本当におめでとう』と、『映画にふさわしいものだ』と、スピルバーグさん自身も『この映画が好きだ』と、本当にすごい日だなと」

また、日本で受賞の知らせを待っていた三浦透子さんは、「皆さんの姿、とてもかっこよかったです。この作品から頂いた、全ての出会いと経験に心から感謝申し上げます。 濱口さん、スピーチ届きました。胸がいっぱいです」とコメントしました。

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受賞の瞬間、映画の大部分が撮影された広島では、ロケ地の一つとなったグランドプリンスホテル広島で、関係者が喜びを分かち合いました。

撮影場所をコーディネート 広島フィルム・コミッション 西﨑智子さん
「本当にうれしいです。監督がとてもうれしそうで、ニコニコで、こちらまで笑顔になりました」

クライマックスのシーンが撮影された、北海道・赤平(あかびら)市では――

赤平市商工労政観光課 成田博之さん
「西島さんと三浦さんが車から降りて、山の方にのぼっていくシーンがこちらで撮られました」

関係者が授賞式の様子を見守ったのは、近くのラーメン店です。このラーメン店では、撮影中、出演者やスタッフに食事を提供しただけに、喜びもひとしおです。

出演者らに食事提供 珍来店主 佐々木康宏さん
「少しでも赤平が携われたということで、鳥肌が立ちましたね」

数々の濱口作品を上映してきた、東京・下北沢にあるミニシアター「シモキターエキマエーシネマK2」に集まったのは、濱口監督と親交のある映画関係者たちです。

濱口監督と10年来の付き合い ポレポレ東中野 大槻貴宏代表取締役
「すごく冷静な人だから、受賞したときのインタビュー、スピーチの時の興奮ぶりはすごく驚いたしうれしい」

濱口監督と約7年の付き合い シアター・イメージフォーラム 武川寛幸さん
「日々、新しい才能がミニシアターから生まれているので、お客様にも注目してほしい」

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快挙を成し遂げた「ドライブ・マイ・カー」。思わぬ反響も広がっています。作中で主人公が乗っていた車について、神奈川・川崎市にある専門の修理業者には、問い合わせが急増しているといいます。

A2ファクトリー 天川恭男取締役
「(映画公開後)3割程度増えていると思う。映画で見てから、初めて見てかっこいいから、『やっぱり欲しい』という人が、きょうも午前中ひとりお客さんが来ました」

ただ古い車のため、28日現在、すぐに販売できる車はないといいます。それでも、喜びはひとしおです。

実は天川さん、映画で使われた車の整備を担当していて「この車が街で走っているのを見るとうれしい。それが映画で映っているのを見たらもっとうれしい」と話していました。


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また、東京・新宿区にある紀伊国屋書店新宿本店では、今回の受賞を受けて、村上春樹さんの原作小説など、濱口監督の関連作品を並べた特設コーナーを展開。

紀伊国屋書店新宿本店映画書 櫛田さん
「けさからお客様何人か手にとっていただいて、実際にご購入いただいています」

今回の受賞をきっかけに、他の作品も手にとってほしいということです。