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元宝塚トップ真飛聖、「女性らしい顔」から変身する“男役の流儀”とは―― 「バトンを渡そう」花組の後輩への思い

2022年4月13日 20:10
元宝塚トップ真飛聖、「女性らしい顔」から変身する“男役の流儀”とは―― 「バトンを渡そう」花組の後輩への思い

宝塚歌劇団・元花組トップスターの真飛聖さん。美しさと温かさで花組を率いた真飛さんは、11年前の退団公演時には東日本大震災のチャリティー募金活動を行った。その当時の思いや“男役の流儀”、そして“その後”に、熱烈な宝塚ファンである日本テレビアナウンサーの安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が迫った。(前・ 編の前編)  

■女性っぽい顔をいかに男性に変身できるか

<真飛聖さんは神奈川県川崎市出身10月13日生まれ。1995年に81期として入団。2007年に花組トップスターに就任し、2011年4月に退団。退団後もドラマ、映画、舞台からバラエティーまで幅広く活躍する。>

(安藤アナ):真飛さんは幅広い役も演じられ、格好いい男役トップスターの印象が強いです。「男役の流儀」「こだわり」は。

「私は在団中から顔が女性っぽいとよく言われていたんです。ほっぺももっと、モチっとしていたし『女の子っぽいね』と。だから自分にコンプレックスがありました。男役としてはそれがマイナスなのかもしれないと勝手に自分で決めつけていました」

「だったらこの女性っぽい顔をいかに男性に変身できるか。それにこだわろうと思いました。眉毛のラインだったり、描く長さの感じ、角度だったり、モミアゲをちょっと人より太く描いてみたり。目元のちょっとしたアイラインの引き方の角度などをよく研究しました」

「『この顔がこうなるよ』というビフォー・アフターのようなもので、ギャップを楽しんでいただけたらいいなと思ったし、自分自身が(メイク)でスイッチが入る。メイクはこだわって勉強しましたね」

(中島アナ):確かに、いわゆる『素化粧』と言われる雑誌などでのお化粧と舞台で観るコテっとした男役の舞台化粧のギャップに私はまさに魅了されていたなと思います。術中にはまりました(笑)。

「こだわりはありましたね。私はお芝居で男くさい役をいただくことが多かったんです。その宝塚メイクって紫だったり、ブルーだったりを使うのですが、わざと私は茶だったり、紺だったり、深めの色を入れるようにしていました。鮮やかに見せるというよりは、深い感じ、クサい感じの色合いで、色気が出るアンニュイな感じのメイクです。あと髪の毛は時代として金髪が多い中、黒髪でやる。そういう違いを出していました」

(安藤アナ):その真骨頂が『EXCITER!!』(2009年初演のショー作品)だと思います。愛され、再演されて歌い継がれている作品です。

「私にとっても宝物だし、花組にとっても財産と言ってもいいのではないかなと思います。作品を作るにあたって(作・演出の)藤井大介先生とディスカッションして、『こういう感じがいい』と私の思いを伝えさせてもらいました。それこそ(演じる役の)『Mr.YU』は全然冴えない人だけれども夜になったらとても格好いい。そういうアイデアを出してでき上がったんですね」

(中島アナ):真飛さんがきっかけでできたキャラクターなんですか。

「みんなにエイエイっていじられる人が変身するようなのをやってみたいと言ったら(実現した)。ボックスから(変身して)出てきたときにみんなが歓声を上げてくれて、ちょっと快感でした」

「みんなで赤(の衣装)で始まるのも格好いいです。あとはやはり『EXCITER!!』という主題歌を聴くだけで、ゾワゾワッとします。出だしからわーっとくる。そこはお客様と一体感を感じるところで、すぐに(ショーの世界に)誘える。思い出深いですね」

(安藤アナ):真飛さんが演じられてその後、後輩に受け継がれました。再演では明日海りおさん、柚香光さんが主演されています。演じた本人から見て、後輩たちが演じる『EXCITER!!』はどう見えますか。

「やっぱりちょっとクサいんですよ。やっぱり私の残り香が(笑)。明日海りおちゃんは、私が辞めてから花組に組替えになったのでかぶってはいなくて。柚香光ちゃんは私がトップだった時に最下級生で出ていました。その子が今、主演で、真ん中で私の役をやるというのは感慨深いし、泣けてきます」

「格好いいし、こんなに面白いショーだったんだというのを改めて感じます。お客様も 『わっ』と一気に手拍子で盛り上がる。そんなショーをさせていただいたんだなとつくづく思います」

(中島アナ):自身のターニングポイントになったという意識はありますか。

「ありますね。このショーを2回やらせていただいているんです。再演させてもらった。その時に『次のことを考えよう』『バトンを渡そう』と感じた瞬間がありました。作品中のちょっとワンシーンなんですが、思い出深いですね」

(安藤アナ):宝塚を卒業されてから11年。その歳月をどのように感じていますか。

「もう11年も経ったのかという感じもしますね。ただ宝塚を見に行くと、ただのいちファンです。(現役生の)みなさんが『どうでした?』とか『ダメ出しください』とか言うのだけれど、ダメ出しとかないんですよ。もうそこにいるだけで素晴らしいんです。もうそこにみんなが存在するだけで、お客さんが笑顔になる。キュンキュン、ルンルンになって帰るんだから。もういてくれるだけでありがとうと思います」

「自分が主演として立たせていただいていた期間はもちろん責任はありますが、みんながいて自分がいたから成り立っていたというだけ。別に偉いわけでも何でもなくて、みんなに支えられているからこそ『一番星』がキラキラ見えたというだけです。あとは衣装が本当に派手だったし、ライトも浴びられた。そう見せていただいていただけたと、私は認識しています」

「だから自分が自分がということではなくて、みんながあって、そしてお客様があっての(トップの)存在意義だと思っていたので。辞めてから客席から見る立場としては、もうみんながここにいてくれれば『大好き!愛してる!』ってなるんでしょうね」

 (中編に続 く)

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アプレジェンヌ 〜日テレ大劇場へようこそ〜』は日テレNEWS24のシリーズ企画。元タ カラジェンヌをお招きし、日本テレビアナウンサーで熱烈な宝塚ファンである、安藤翔アナ(妻が元タカラジェンヌ)、中島芽生アナ(宝塚音楽学校を4回受験)の2人が、ゲストの宝塚時代・退団後の生き方に迫ります。次回は元雪組スターの彩凪翔さんです。  

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