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【フォレスタ1】シニア世代がギャップ萌え

2019年3月15日 10:00
【フォレスタ1】シニア世代がギャップ萌え

シニア世代にこよなく愛されるコーラスグループのステージが、「杖を忘れてしまうほど元気になる!?」などと評判になっている。グループ名は「フォレスタ」。メンバー全員が音大卒の男女13人組で、近年は年間100公演近いコンサートを開催し、各地の会場を満杯にする実力派だ。フォレスタがなぜ愛されるのか、その魅力を探った。

同グループは2003年、BS日テレの音楽番組「BS日本・こころの歌」(毎週月曜午後7時から放送)がスタートするにあたり、番組オリジナルのコーラスグループとして結成。
それ以来、「日本の古き良き旋律を歌い継ぐ」をテーマに、約15年にわたって同番組やコンサート会場で歌声を披露してきた。

来場者の増加とともに公演数が増えたのはここ数年のことで、「10年ぐらい前から年間数本はやっていましたけど、年間100本近くになったのは、ここ2、3年ですね」とリーダーの大野隆。
番組で名曲の数々を真面目に歌うメンバーの姿を見てコンサート会場に足を運ぶ人が多く、コンサートでメンバーの明るいキャラクターに触れてさらに虜(とりこ)になるパターンがほとんど。今風に言う“ギャップ萌え”で、コンサートへの来場者が年々増えてきたという。

コンサートは2部構成。1部が番組に近いスタイルで「荒城の月」など日本に昔からある名曲を歌い、2部で歌謡曲や映画音楽など幅広いジャンルの楽曲を歌う。
レパートリーは童謡、唱歌、歌謡曲、オペラと豊富で、「過去のものを全部入れたら、3000曲ぐらいありますね」と大野。これらをピアノ伴奏のみをバックに、クラシックの発声法をベースに歌う。

それでもグループとして初めて地方で開催した新潟のコンサート(2008年)は「スタッフさんの方が多いんじゃないか」(大野)という客入りだったそうだが、「真面目に、地味に、地道にやっていたら少しずつ増えてきた。満席になってきた」と大野は振り返る。
コーラスグループとして一時代を築いたデューク・エイセスが2017年に解散し、ダークダックスも現在はメンバー4人のうち3人が鬼籍に入るなど、古き良き名曲を歌うグループが少なくなってきたという時代背景もあった。
大野は「番組を見ていたお客様がいて、叙情歌・唱歌を求めてくださっていたお客様がいて、それでだんだん口コミでお客様が(コンサート会場にも)来てくださるようになった。番組と違ってオペラもやるし、動きもあるし、ということで『番組とはまた違った良さがあるな』って感じで、だんだん増えてきた」と語る。

名曲を聴くと、その当時の思い出もよみがえる。シニア世代にとって番組「こころの歌」やフォレスタのコンサート会場は昔の自分に戻れる貴重な場所で、小笠原優子は「懐かしい、思い出の歌を歌っていて、お客様がその曲に思いを寄せて、『懐かしいな』とか、そういうのが多分あったんじゃないかなと思いますね」と分析。
また、大野が「大ファンだった歌手の方が、時代を経てちょっと(歌い方を)アレンジされていたりするじゃないですか。『そういうふうに歌っていなかったじゃないですか』って(思う時がある)。そういう曲を我々は一切、クセとかアレンジを入れずに歌う。メロディー譜面をいただいて、そのまま歌う」と語るように、“名曲をそのまま歌い継ぐ”というスタイルそのものがファンの支持を得る重要なポイントになっているのだ。(2に続く)