付き人が語る昭和の歌姫・美空ひばりさん2
美空ひばりさんを語るうえで欠かせないのが、「一卵性親子」とも言われた母の加藤喜美枝さんの存在だ。
ひばりさんの付き人で著書「美空ひばり恋し お嬢さんと私」(主婦と生活社)を出版した関口範子さん(79)は、親子関係をすぐ側で見ていた1人。
周囲が気づかないひばりさんのわずかな変化にも、喜美枝さんだけが気づくことも多かったと関口さんは明かす。ひばりさんの体調が悪い時は喜美枝さん特有の治療法があったそうで、「おネギとお味噌をまぜて、熱湯を入れて(食べさせると)夜中に汗をかくんです。そうすると朝になると熱が下がっているんです。必ず良くなるんです」と関口さん。
多くの著名人がひばりさんを慕っていたことも著書に記されているが、関口さんによると、ひばりさんの気遣いが慕われた理由だという。
ひばりさんの性格を「人の気持ちが分かって、ウソがつけない」と言う関口さんは「何かプレゼントをなさるのでも、ご自分でちゃんと選んだもの(を渡す)。『これはこの人に合うから』ってちゃんと自分で感じたものを決めて。おいしいものはみんなに食べてもらいたいと思っていて、ご自分がおいしかったから(プレゼントを)しましょうとか(考えていました)」と明かす。
ひばりさんの気遣いは、著名人に限ったものではなかった。
関口さんは「お芝居の座員の方たちのことも全部、気遣っている。(座員が)悩みを持っていたり、沈んでいたり、元気がないと、『何かあったの?』って呼んで、いろんなことを解決してあげたり。(困っている座員がいると)すぐ分かっちゃうんですよ。ひばりさんは、そういうことに敏(さと)いんです」と振り返った。(3に続く)