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市川團十郎、子供たちの出演舞台を見守り「母親のような気持ち」 春休みには家族で海外旅行へ

2024年5月1日 22:38
市川團十郎、子供たちの出演舞台を見守り「母親のような気持ち」 春休みには家族で海外旅行へ
『團菊祭五月大歌舞伎』に出演する市川團十郎さんにインタビュー
5月2日から歌舞伎座で上演される『團菊祭五月大歌舞伎』(5月26日まで)。出演する市川團十郎さん(46)に、日本テレビアナウンサー・市來玲奈がインタビュー。公演への思い、そして娘・堀越麗禾さん(12)と息子・堀越勸玄さん(11)と行った海外旅行での思い出を伺いました。

■市川團十郎としては2回目 日常生活の一部である『團菊祭五月大歌舞伎』とは

『團菊祭』は、明治時代に活躍した九世市川團十郎と五世尾上菊五郎の偉業を顕彰するために始まった公演で、毎年5月に興行し恒例となっている祭典として多くの人に愛されてきました。

――これまで続いてきた『團菊祭』を振り返って、團十郎さんにとって、どのような公演でしょうか?

團菊祭は、父たちが主役をしていたことで、5~10歳ぐらいからいる空間ですから、日常生活の一部でしかないわけですね。当時は先輩たちが楽しく空気を作ってくれる中で、我々はがちゃがちゃするっていう(笑)。16~17歳ぐらいからは、自分の主役のものをさせていただいて、いつの間にか楽しい思い出よりも苦しい思い出ばかりになって…。今、若手の人たちはみんな“メインの役をやりたい”って言いますけど、僕なんか特に早く主役をさせていただいているので、やりたいとかやりたくないとかも分からないまま走るわけで、大変な思いをしていましたね。

■現在も続く襲名披露公演 子供たちのたくましさに喜び

現在、十三代目市川團十郎白猿の襲名披露公演が続く團十郎さん。名古屋、京都、博多、石川、静岡などで公演を行ってきました。

――襲名披露公演が続いていますが、これまでで印象に残っている場所はありますか?

どこもかしこもなんですけど。博多の興行は、初めて勸玄が長期で家を離れて歌舞伎に取り組むということで、ものすごく不安があって。自分自身の興行も大変なんですけど、彼のメンタル、健康面に対してのケアも大きかったので、乗り越えてくれた時は母親のような気持ちで喜びましたね。

また、京都での公演は、麗禾さんの思いにも…。

京都の場合、今度は麗禾も一緒に出ると。“襲名披露興行に女の子が出る”って珍しいことなんですけど、何十年かぶりに歌舞伎座で『團十郎娘』という出し物をしました。やっぱり彼女なりにいろんな思いがあったんでしょうね。もう一回、父と弟の興行に参加したいと。無事に麗禾や勸玄が舞台をしきってくれた時の喜びはとても大きかったです。

■團十郎「歌舞伎以外の時は海外に」 日本の良さを再認識

長期間にわたって舞台が続き、多忙なスケジュールで心も体も疲れていたという團十郎さん。父である十二世市川團十郎さんが生前、“休むことも大切だ”と言っていたことを思い出し、春休みには麗禾さん・勸玄さんとともにマレーシアとバリへ旅行に。そこでは意外なハプニングもあったといいます。

――家族での海外旅行はいかがでしたか?

マレーシアは面白いですよ。“日本も昔はこうだったんだろうな”くらい活気があるんです。渋滞とかやばくて、(20メートルほどの距離を指しながら)ここからそこまで行くのに40分ぐらいかかる。だから歩いた方がいいんだけど、分からないわけよ、こっちは。“(運転)終わりました”って言われて、“ここ!?”みたいな。そういう珍道中がありました。バリは、ものすごいホテルが何十個も入るような敷地の中に別荘地があるんですよね。そこのビラで過ごしました。僕と麗禾と勸玄だけしかいない干渉されない世界でゆっくりできたので、メリハリのついた旅でした。麗禾はアグレッシブに動きたいみたいで、マレーシアが好き。勸玄はのんびりしたいからバリが好きっていう。分かれるんですよね。

――(SNSを拝見して)勸玄さんが日に焼けたくないって言っていたようですね。

勸玄は、1日で(日焼けして)真っ黒こげになって皮がむけるんですよ。いつもそうなんだけど、初日に皮がむけるんです。無限に遊んで次の日全部むけるから、寝ざるを得ないというか。

――麗禾さんはいかがですか? プールでも遊ばれてましたね

麗禾はバランス良く、日焼けするのも怖いから、日の当たるところは最小限にして。15時か16時ぐらいからは日が陰るじゃないですか。でも十分明るいし暖かいので、そのタイミングに(プールへ)入ってくる。賢いなと。

――やはり海外旅行というのはリフレッシュになりましたか?

歌舞伎以外の時は海外に行こうと思います。日本の良さがなおさらわかる。日本ってトイレもきれいだし、システムもちゃんとしているじゃないですか、電車もバスも。素晴らしい国だと認識することが大事。今あることを喜んで、今あることに感謝をして、今自分たちは“個”として何ができるのかを探求しなくちゃいけないと思います。

■大先輩への恩返し 父が最後に教えてくれた演目とともに

――最後に改めて、團菊祭五月大歌舞伎の見どころを教えてください。

演目『極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)』の長兵衛に挑戦できるということ。これは父が最後に教えてくれた演目です。もう一つは、(市川)男女蔵さんが『毛抜』をなさる。私は後見ということで出させていただきます。大変お世話になった大先輩・四世市川左團次さんがお亡くなりになって1年ということで、ご子息である男女蔵さんが、市川團十郎家の『毛抜』をやりたいということで、市川宗家として承諾しました。後見として幕外だけやるので、“後見人”のような立ち位置で接することができたらいいなと。

■市來アナの取材後記 「歌舞伎界を担う大名跡、厳しくも愛のある父としての姿」

海外旅行から帰国後すぐにインタビューに応じてくださった團十郎さん。実は、旅行のスケジュールを、娘・麗禾さんの中学校入学式に合わせていたそうです。それに伴い、インタビューの中では小学校の卒業式に出席されたお話しも。麗禾さんやその同級生の成長した姿に、うれしくて涙があふれたと明かしていました。また、勸玄さんが海外旅行で全身日焼けしてしまうという思い出も、ほほえみながら話されていた様子から、父としての優しい愛があふれていらっしゃいました。團十郎さんの背中を見て勸玄さん、麗禾さんが歩んでいく姿も楽しみです。


【市來玲奈の歌舞伎・花笑み】
「花笑み」は、花が咲く、蕾(つぼみ)がほころぶこと。また、花が咲いたような笑顔や微笑みを表す言葉です。歌舞伎の華やかな魅力にとりつかれた市來玲奈アナウンサーが、役者のインタビューや舞台裏の取材で迫るWEBオリジナル企画です。