ゴジラを博多人形で表現 1体385万円 完成まで半年間の舞台裏
■ゴジラに描かれた14体の怪獣
1954年に公開された初代『ゴジラ』がモデルになっている『追憶の呉爾羅』は、横幅60センチ、奥行60センチ、高さ55センチ(丸台座込)で、重さは約10キロ。伝統工芸である博多人形の彩色技法を用いて、日本的で格調高い雰囲気に仕上げています。
体に描かれているのは、歴代のゴジラ作品に登場したキングギドラ、モスラ(成虫)、モスラ(幼虫)、アンギラス、ラドン、ガイガン、ミニラ、メカゴジラ、ジェットジャガー、キングシーサー、エビラ、ヘドラ、ガバラ、メガロの14体の怪獣です。
ボディーは、ゴジラの登場シーンに欠かせない青い海を想起させる彩色がベース。胸に描かれたキングギドラや爪などには24金、右脚部分のメカゴジラや、背びれにはプラチナが使用されています。また、グリーンの瞳には、“自然が人間の行いを見ている”というメッセージが込められているそうです。
■1体完成までに半年 博多人形師のこだわり
小学生の頃、ゴジラの新作映画が公開されるたびに劇場に足を運び、魅了されたという博多人形師の中村さん。『追憶の呉爾羅』の構想から、1体完成させるまでに半年を費やしたそうで「(モデルにした)第1作目の『ゴジラ』は、ちょっと粗雑で左右不均等なところがあり、リアルに気持ち悪いと思えちゃうところ…僕らには真似できません。ただ、再現するとなるとちょっと厄介です。博多人形の技法で制作するので、石膏で型取りします。ちなみに原型は粘土で作るのですが、重みで足が潰れていく。デザイン画通りに仕上げるためには、粘土を足してはバランスをとるという作業の繰り返しでした」と、苦労を明かしました。
さらに、中村さんがこだわったのはボディーに描かれた怪獣たち。「僕がカッコイイと思っている選りすぐりの14種類です。確かに大変な作業は多かったのですが、世界のどこにもない自分が欲しいゴジラのフィギュアを制作しているという実感があり、とても楽しむことができました」と明かしました。
6日から、福岡市の中村人形ギャラリー『傀藝堂(かいげいどう)』で展示。すべて手作業で仕上げた『追憶の呉爾羅』は1体、385万円(税込み)。限定10体の販売で、1体はアメリカ・ニューヨークでの展示会で販売予定。残りの9体を特設サイトで抽選販売するということです。