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竜そば細田監督から若者たちへのメッセージ

2021年9月28日 13:32
竜そば細田監督から若者たちへのメッセージ

現在公開中の映画『竜とそばかすの姫』を手掛けた細田守監督(54)にnews every.がインタビュー。今のネット社会と共に生きる若者たちに向けたメッセージと作品に込めた思いを語ってくれました。


■“現実とインターネット”2つの世界で生きる若者たちへ

インターネットの誹謗中傷みたいのがあって、若い人がこれから自分で何か表現していこうという時に、大変な時代の中で表現しなきゃいけないなと思う。すごい叩かれたりとか、いろんなことが待ち受けてるわけじゃないですか直接的に。僕らみたいな親世代からすると、そういう世界に入って行くと危険でガードしたいって気持ちになっちゃう。僕も親なんでそういう風な事を思っちゃうんですけど。今の若い人っていうのは2つの世界を同時に、両方とも現実だと思って受け止めているのが今の若い人だと思うんですよね。僕らは現実しかなくて、あとはインターネットの世界が出てきたの
で「これは危険だ!」って。


■2つの世界を描く“竜そば”が生まれた理由

今の若い人って最初から2つの世界と同時に付き合ってて、両方とも実は現実の世界だっていう、2つの世界で生きていくのが今の子なのかなっていう点でいうと、すごい大きな意識の変化っていうのがあるんじゃないかなと思うんです。その感じを映画で表現したっていう事でいうと、この映画がおそらく世界で初めてだと思う。「今のこういう世の中を人間は生きていくのです」ってことをね。そういう点でこれからの現実っていうのをしっかりと表現したっていう点ではすごくリアリティーを持って(映画公開を)迎えられたんじゃないかな。


■ネット社会の誹謗中傷…親としては心配

グループLINEの中での駆け引きとかね、うちの娘なんてまだ5歳ですけど、これから大きくなってスマホ持ってSNSに登録してグループLINEに入っていって「やってけんのかな?やってけないんじゃないかな?」と親としては心配なんですけど。


■生きづらい世の中…「希望を持って欲しい」

インターネットがあることによって生きづらい部分もあると思うんですよ。誰とでも繋がれるような世界だからこそ、今の若い子って孤独に追い込まれていったりとか気を使いすぎる。インターネットの中の独特な気の使い方・複雑さについて行けなくなったりとか。もしくはそのせいで、一種の自己肯定感が低いままにおかれていたりとかそういう気持ちで居る子っていうのはすごい多いと思う。そういう子がそれだけの存在なのか?もっとそうじゃなくて、もっと本当は違う可能性を秘めたもう1人の自分っていうのを自分の中に抱えているんじゃないか?っていうのがこの『竜とそばかすの姫』の歌姫・ベルと女子高校生・すずの関係だと思うので、若い人・自由を抑圧されている人にも希望を持って欲しいなと思って描いているんですよね。


写真:(C)2021スタジオ地図