「生涯、笑点に出ない」宣言の立川志らくが『笑点』初出演 決断したウラ側に円楽の “あんパン”
志らくさんの師匠・落語家の立川談志さんは1966年に放送を開始した『笑点』の初代司会者。今年5月で放送満56年を迎えるこの長寿番組の大喜利に、談志さんの直弟子が出演するのは初めて。志らくさんは、脳梗塞のため現在リハビリ中の三遊亭円楽さん(72)の代演として、大喜利に参加します。
志らくさんは自身の著書『全身落語家読本』(2000年)や自身のYouTubeなどで『笑点』批判を繰り広げてきました。“落語イコール笑点” というイメージが嫌で「生涯、笑点に出ない」宣言までしていたのに、なぜ今回出演を決断したのでしょうか。談志さんから引き継いだ自宅でインタビューしました。
■「大喜利をやるのが落語家だと思われるのは嫌だった」
――今回の初出演を決断するまでの経緯は?
まさか自分のところに(笑点出演の)オファーが来るとは夢にも思っていなかったのでビックリしました。オファーを受けるべきか丁重にお断りすべきか相当悩みました。若い頃自分の書いた本(全身落語家読本)の中で、笑点のことを大批判した。落語イコール笑点というイメージが私の中では嫌で、落語を語ってこその落語家だと思っていたんで、大喜利をやるのが落語家だと思われるのは嫌だなと。だから批判をしていました、ずっと。「いつになったら笑点に出られるんですか?」と言われるのが嫌だったので、あの頃、若かったんでしょうね。
――大喜利メンバーとのエピソードは?
本を出してしばらく経(た)って、笑点のメンバーとたまたま新幹線が一緒になっちゃった。みんな大人だから口には出さないけど「あっ! 俺たちの悪口を言った志らくがいる」って。席が笑点のメンバー、あとスタッフ。誰も口をきいてくれない。そしたら円楽師匠が「俺きょう、おいしいあんパン買ってきたんだ」ってみんなに配り始めた。私がぼんやりしていたら「志らく、お前も食うかい?」ってくれたんですよ。その時に涙が出るほどうれしくて、なんて心の広い人なんだろう。心の中で笑点の悪口言ってすみませんって、ずっとそんな円楽師匠に対する感謝の気持ちがあるんで、円楽師匠がこういう状況ならば(笑点出演の)オファーを受けるべきだと思って出ることにしました。
志らくさんが登場する笑点は、放送開始記念日の5月15日放送の予定です。