狂言師・野村万之丞が企画 若者や初心者向けの狂言会を取材「映画、お笑いを見に行く感覚で」
■日本の伝統芸能『狂言』
狂言とは、日本の伝統芸能のひとつで、中世の庶民の日常生活を明るく描いた、セリフが中心の喜劇です。笑いを通して人間の普遍的なおかしさを表現します。
20日に東京・渋谷区にある国立能楽堂で行われた今回の公演は、“若者や狂言初心者の方も、気軽にふらっと立ち寄れるよう、敷居もフラットに”をコンセプトにした狂言会で、今回が4回目の開催になります。
■フォトスポットなど親近感がわくような工夫
■初めての狂言会「意外と現代っぽくて面白かった」
こうした取り組みについて、初めて狂言を見に来たという観客(30代)に感想を聞くと「(狂言は)難しいイメージあります。なので解説してくれるならありがたい。ハードルが下がって、気軽に来やすい」と、解説があることで狂言を見るハードルが下がったと話しました。ほかにも、初めて狂言を見に来た観客(20代)は、「言葉が難しいとか、聞いてわかるのかなっていうイメージが最初はありました。実際に見て、笑いのポイントとかが意外と現代っぽくて普通に笑っていて、面白かったです」と、狂言のイメージが変わったと語りました。
■「自分世代にオススメできる公演を作りたい」
公演後、こうした狂言会を企画した理由を万之丞さんに伺うと「元々、本格的な公演か、子供向けの公演しかなかった。ちょうど中間の、自分と同世代の人たちを誘いにくい形があったので、自分世代の人にオススメできるようなパッケージの公演を作りたいなと思っていました。若い人や初めての方がどうやったら来やすくなるか、そして来たときに楽しんでもらえるかというのを普段の狂言の公演ではないような取り組みを、新しく企画してやっていこうと思って始めたのがきっかけです」と、若者向けの取り組みを始めたきっかけを明かしました。
また、今回の狂言会の感想を聞くと、万之丞さんは「普段の公演よりもフレッシュというか、大きく反応があるなというのを今回も感じまして、私たち演者だけでなくて、お客様も若返りというか、そういうふうになってきているのかなと思って、この公演をやっている意義を感じながら私たちも楽しく演じることができました」と、語りました。
■今後の展望「狂言がオーソドックスな形に」
最後に、今後の展望を伺うと「全国民の間で、狂言ってやっぱり面白いお芝居、昔から続いているだけではなくて現代でも笑えて楽しめるお芝居だということが浸透して、映画を見に行ったりとか、お笑いを見に行ったりとか、そういう感覚で狂言を見に行くっていうのがオーソドックスな形になっていくのが一番の理想だなと。どんどん興味を持っていただけるような仕組みを考えて、初めて見る方をどんどん取り込んでいって、続いて見に行けるような形にしていきたいなと思っております」と、語りました。