ハリウッド注目俳優、オースティン・バトラー「尊敬するのは三船敏郎」 “日本映画愛”を語る
■エルヴィス役に抜てき 映画初主演のオースティン・バトラー
主にテレビドラマで活躍していたオースティンさんですが、その甘いルックスと抜群の歌唱力を、映画『ロミオ+ジュリエット』や『ムーラン・ルージュ』などを手がけたバズ・ラーマン監督(59)に見いだされ、今回エルヴィス役に抜てき。映画初主演を果たしました。
インタビューではオースティンさんとバズ監督、さらに2人が“レジェンド”と尊敬し、実際に本人と3度も会っている音楽評論家の湯川れい子さんにもお話を聞きました。
■エルヴィスと親交のある湯川れい子が語る映画『エルヴィス』
――湯川さんが作品をご覧になった感想は?
湯川:よくジョン・レノンが「エルヴィスがいたからビートルズがいる」とか、ポール・マッカートニーも「一番影響を受けたのはエルヴィスだよ」と言ったとか。そういうことを直接ビートルズからも聞いていますから。でもそれを日本でいくら説明しても分かっていただけなかったんですね。それを今回、こんな美しい方法で私たちみんなに分かりやすい、素晴らしい映画をつくってくださったことに、涙が出るぐらい感謝しています。
■日本映画が好きなオースティン「俳優として尊敬するのは三船敏郎」
――初来日のオースティンさん、日本の印象は?
オースティン:皆さんが優しくしてくれますし本当に歓迎してくれます。東京はとても美しい街で、素晴らしい時間を過ごせました。
――好きな日本の文化はありますか?
オースティン:日本映画が大好きで、黒澤明監督の作品も見ています。俳優として一番尊敬しているのは三船敏郎さんです。
――三船敏郎さんのどんな所を尊敬していますか?
オースティン:三船さんはちょっとジェームス・ディーンに似ているところがあると思うんですけれど、なにしろ非常にたくましい部分と、“もろさ”とか“弱さ”が混在していて、その組み合わせが非常に説得力があります。とにかく彼を見ていると目が離せません。そして彼はかなり動物を研究していて、例えばゴリラの動きとか性質。そういうものを研究して演技をしていたというところも魅力的です。
――黒澤明監督のどの作品を見ましたか?
オースティン:黒澤映画の2本立てを見に行ったんです。ハリウッドのグローマンズ・チャイニーズ・シアターで『乱』と『七人の侍』を同時に見たんです。やはり劇場の大きなスクリーンで見られたのがすごく印象的でした。古い映画は家のテレビで見ることが多いと思うんですけれど、大きなスクリーンで見られたというのが非常に素晴らしかったです。
バズ監督:私は光栄なことに黒澤監督に会ったことがあります。若い私にとても親切にしてくれました。黒澤監督が『夢』を手がけたすぐ後で、私の最初の作品がカンヌで上映された時でした。彼はとてもシャイで内気な印象がありました。もちろん強烈な方でもありましたけど。でもとても私に優しくしてくださいました。あと黒澤監督はシェイクスピアをいろいろ解釈していますよね。リア王ですとか。私はその影響を受けて『ロミオとジュリエット』を現代的にすることを思いついたんです。