尾上菊之助、八代目・尾上菊五郎を襲名へ 父は七代目を名乗り続け、歌舞伎界初の“尾上菊五郎”が2人に
菊之助さんは襲名について「音羽屋先祖代々の重き名跡・菊五郎を襲名の上は、歴代の菊五郎に劣らぬ役者となれるよう、一生懸命に精進してまいる所存でございます。そして、歌舞伎を懸命に守ってきてくださいました先人たちに少しでも恩返しができるように、そして感謝の念を忘れず、古典歌舞伎は言うに及ばず、復活狂言、新作歌舞伎とさらに努力をしてまいる覚悟でございます」と、力強く語りました。
また会見で、現在の菊五郎さんは、来年5月以降も七代目・尾上菊五郎を名乗ることが発表され、同じ名前の役者が同時期に存在するのは、400年以上ある歌舞伎の歴史の中でも初めてだということです。
菊五郎さんは「私も52年間名乗らせていただいた名前を今さら変える気はなくて、七代目・菊五郎のまま歌舞伎人生の幕を閉じたいと思いますので、それまでは一生懸命負けずに勤めてまいりたいと思います」と、七代目として歌舞伎人生を全うしたいと語りました。
■「菊五郎の名を絶やさないという父の思いが強かった」
また、今回の襲名のタイミングについて、菊五郎さんは「2年前に脊椎の病気になりまして舞台を休み休みになり、菊五郎という名前はいつも元気で働いてなくてはいけないという思いがありましたので、この際、せがれに菊五郎を継いでもらおうと、そういう気になりまして。それでも私は病気に負けないで一生懸命治そうと思ってますんで、ちょっとややこしいですけど、七代目、八代目が同時に誕生できました」と語りました。
菊之助さんは、父が七代目・尾上菊五郎を名乗り続けることについて「歌舞伎界でもなかったことだと思いますので、これはどういうふうに受け止めればいいのかと最初は戸惑いましたけれども、菊五郎以上の名前が音羽屋にはありません。私も七代目菊五郎という名前は父に本当にぴったりだと思っていて、それ以外の名前は私もないというふうに思っておりました」と、戸惑いの気持ちがあったと明かしました。
続けて「父が健在な限りは、私は菊之助をずっと守っていこうと思っておりました。でも、父が八代目をということを言ってくれたので、その言葉に従い、やはり菊五郎の名を絶やさないという父の思いが強かったと思います。なので七代目、八代目が並び立つ舞台をこれからもできればというふうに思います」と自身の思いを語りました。