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「コントが始まる」の福井プロデューサーが挑戦 新スタイルの “日めくりドラマ” への思い

2022年3月28日 8:10
「コントが始まる」の福井プロデューサーが挑戦 新スタイルの “日めくりドラマ” への思い
8分間ドラマ『サヨウナラのその前に』を企画した福井雄太プロデューサー

日本テレビ系情報番組『ZIP!』で放送中の朝ドラマ『サヨウナラのその前に』は、隕石衝突までの地球最後の31日間を描いた物語です。

主人公は、男子高校生の椿木宙、女子高校生の観月未希、物理教師の渡会実、喫茶店主の金島陽子、引きこもりの佐藤開の5人。1話は約8分の“日めくり式”で、曜日ごとにそれぞれの視点で物語が進みます。

企画の福井雄太プロデューサーは、これまで『ボク、運命の人です。』『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』『コントが始まる』などを手掛けてきたヒットメーカー。なぜ今、朝の時間帯にこの企画に挑戦するのかを聞きました。

■「応援したい」と思われるスターを生み出したかった

月曜日の引きこもり・佐藤開を演じるのは、視聴者投票型のオーディションで選ばれた新人・西岡星汰さんです。オーディションの様子は『ZIP!』で放送されました。

――なぜ、主人公の1人をオーディションで選んだのですか?

新しい出会いがほしくなったんですよね。でも、男性の俳優さんで新しい人と出会うのはなかなか難しいんですよ。女優さんって雑誌のモデルだったり、CMに早く起用されたり、拝見して巡り合う機会が多いんですが、男性の俳優の方って学園モノのドラマをやってオーディションをさせていただくことで出会うんですよね。だから、せっかくこうやって朝、新しいことを始めるときに、僕のプロデュース人生においても何か新しい出会いになることができたらいいなと思って、まずオーディションをやらせていただきました。

――視聴者投票型にした理由は何ですか?

今の俳優さんって、すごく吸引力のある人が先導して、それに見ている方たちが集まってくるというよりも、応援したいという形になって初めて、その人や作品の魅力を感じ取っていただけるということがすごくある世の中だな、というのを感じていたんです。だから、応援したいと思っていただける新しいスターを生み出すということをこの朝ドラでチャレンジできないかなと思って、ああいう形を取らせていただいたんです。

僕は1時間のものを1週間待っていただいて約10話っていう考え方でドラマを作ってきて、それが染み込んで癖になっている部分があるんです。だからまず、月曜から金曜まで見ていただける。8分間のこのドラマの作りがとても面白いと、新しい企画に可能性を感じていました。

この放送の仕方、この尺じゃないと絶対に作れないドラマを作ろうと思いました。それが、主人公の目線が入れ替わるということや、視聴者の本当の日付と主人公の日付を全部シンクロさせるというところです。1週間待つ連続ドラマのスタイルだと、絶対にできないことなので、それを志しました。

――今までとは全く違うスタイルで、福井さん自身に葛藤はなかったんですか?

ないですね。やっぱり新しいことをやるのってワクワクするじゃないですか。こうやって物作りの仕事をさせていただいたときに、少しでも自分が面白くなる可能性があるなら、まだまだチャレンジしたいですよね。こういう作り方をしたことで、それは連続ドラマにフィードバックできることもありますし、1日1日たったら、1歩1歩面白くなりたいという思いがあるので、葛藤というよりは、「じゃあこのスキームで作ることができるんだったら、どういうことができるんだろう」とすごくワクワクしましたね。

■この世界に一番必要であるものを目指したドラマ

ストーリーに終末感はなく、描かれているのは人の温かさや絆です。

――どのような物語を作り、何を感じてほしかったのですか?

このコロナ禍で僕たちはモヤモヤした気持ちを持ちながら生きていて、それでも明日は来るし、朝は始まるし、しなきゃいけないことがあるんですよね。いろいろ我慢して嫌なことが続いている中で、作劇をするということが僕の仕事。僕は、視聴者の方が朝この作品を見たときに、今のこの世界にとって一番必要であるものを目指したんです。だからこそ、このドラマを見たときに見ている方が間違いなく思えるのは、「きょう一日、頑張ってみようかな」とか「きょう一日、こういうことをしてみようかな」ということです。朝見て嫌な気持ちになる、不快な気持ちになるというのは絶対に1話たりともないです。