NEWS・加藤シゲアキ「最も壮大なテーマに挑んだ」 最新長編小説は『なれのはて』
『なれのはて』は、終戦前夜に起きた日本最後といわれる空襲をテーマに、やるせない人間の業(ごう)と向きあいつつ、一方で力強く生き抜こうとする人びとの姿を、一枚の絵のミステリーを通じて描いた物語です。舞台は、東京、秋田、新潟。時代は、令和、昭和、大正までを描きます。
1万字のプロットから始まり、構成をじっくり練り上げ、原稿に向きあった期間は約3年。原稿用紙740枚超の大作になったそうで、加藤さんは、「前作『オルタネート』の執筆時から考えていた本作が、構想からおよそ3年の歳月を経てついに完成しました。『なれのはて』は自著のなかで最も壮大なテーマに挑んだエンタメ作品であり、また問題作でもあると考えています」とコメント。
また、「舞台を2019年の東京と、私の母の地元である秋田にしたのは、私自身がこの物語に深く没入するためでしたが、その過程で日本最後の空襲のひとつといわれる土崎空襲を知り、自分がこの小説を書く宿命を感じました。この小説を書いたのは本当に自分なのか、それとも何か見えざるものによって書かされたのか。今はそういった不思議な気分です。作家活動が十年を超えた今だからこそ、全身全霊で書き上げることができました」と、本作への手応えを明かしました。