中条あやみ「世界が広がった」 共感できる言葉の数々に救われた『星の王子さま』 翻訳本に初挑戦
■『星の王子さま』は悩む時期に寄り添ってくれた一冊
中条さんが翻訳したのは、1943年にアントワーヌ・ド・サン=テグジュぺリさんの『星の王子さま』のフランス語の原書と同時に発売された、キャサリン・ウッズさんの英訳版をベースにした『大切なことを教えてくれる 星の王子さまのことば』(12月6日発売)です。
イギリス人の父と日本人の母との間に生まれた中条さんは、子供のころの悩んでいた時期に『星の王子さま』と出会ったといいます。
――『星の王子さま』から中条さんはどんな影響を受けましたか?
私自身、イギリス人の血が入っていて、小学校に通っている中で、まわりの子供たち、同じクラスの子だったりとかと、ちょっと感覚の違いというか文化の違いもあって、“ちょっとみんなとは違うな”というのが子供の時にあって。お話ししてても「なんかあなただけ違うね」みたいなこととかもあって、“違うって嫌だな”っていうか、自分の個性がコンプレックスだった時期があって。みんなと一緒がいいな、みんなとなじみたいなって思って、ちょっと悩んでたんですね。
私は当時図書室に行くのが好きで、そのときに出会ったのが『星の王子さま』で、読んでたら、優しい、寄り添ってくれるような言葉だったりとか、ちょっと表現がロマンチックというか、個性的というか。自分が共感できる一節とかもあったりして、“こういう価値観って共感できる言葉があるんだ”ってそのときに思って。
この学校だと、共感できることとかできないことっていうのは、自分は感じてるかもしれないけど、それ以外の世界で共感できるものだったりとか。『星の王子さま』の場合は、(作者の)サン=テグジュペリさんの言葉が、私にはすごく共感できる言葉があって。なので、そこで世界が広がったというか、あたたかい気持ちにもなれたし、“仲間がいた!”じゃないですけど、そういう感覚になりましたね。
■本を贈りたい相手は「ちょうどバトンタッチ」
――子供のころと大人になってからで『星の王子さま』を読んで感じることに変化はありますか?
全然違いますね。その当時の自分の状況だったりとか、タイミングとかで受け取り方は違うなって思って。実際、図書室で読んだときの感覚と、また大人になって自分が今後どうやって生きていったらいいのかなとか悩んでいるときに、本を友達からいただいて、また読む機会があったんですけど、そのときの感じ方とはまた全然違って。認めてもらえたじゃないですけど、再確認でもありつつ、“あなたはあなたのままでいいんじゃない”って言ってもらえているような気がして、同じようでちょっと違うニュアンスの受け取り方をした記憶があります。
――中条さんが今回の『星の王子さまのことば』を贈るとしたら誰に贈りたいですか?
実際、私自身が大人になって『星の王子さま』をもらって、あたたかい気持ちになれたように、誰かに本をプレゼントするっていうのもすごくいいことだなと思っていて。もし自分がこの本を誰かにあげるとしたら、誰だろう? まわりのみんなはすごく素晴らしい人ばかりなので、あげるような方がいないんですけど。でも、私自身おいっ子とか、めいっ子がいるので、おいっ子とかめいっ子にも、この本をプレゼントしたいなと思ってます。
――中条さんのおいっ子とめいっ子はいま何歳ですか?
いま小学生なんですけど。
――ちょうど中条さんが『星の王子さま』と出会ったころと同じタイミングですか?
ちょうどそうですね。バトンタッチのタイミング、本も読めるくらいにもなってきました。