生活を彩るアート「トールペイント」 作家兼講師として活動中の女性の創作現場に密着【徳島】
食器や布、ドアプレートなど、生活のあらゆる場所に描かれる「TOLE PAINT(トールペイント)」というアートをご存知でしょうか。
トールペイントに魅せられ、作家兼講師として活動している徳島県鳴門市の女性の創作現場にカメラが密着し、新井木乃美記者が体験してきました。
トールペイントに魅せられ、作家兼講師として活動している徳島県鳴門市の女性の創作現場にカメラが密着し、新井木乃美記者が体験してきました。
フランス語で“ペイントしたブリキ”
アクリル絵の具や油絵具を使って色鮮やかな色彩で描かれるトールペイントは、フランス語で“ペイントしたブリキ”という意味で、ブリキ製品に装飾を施したことが発祥とされています。
家具や小物、陶器、布など、生活空間のあらゆる素材に描かれ、「生活を彩るアート」として多くの人に愛されています。
徳島県鳴門市在住のトールペイント作家兼講師の富永ゆかりさん。
富永さんは24年前、子どもが通う幼稚園のPTAで行われていたハンドメイドサークルに参加し、トールペイントに出会いました。
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん(鳴門市在住))
「もともと、モノ作りとか色々することが好きだったということもあって、子どもが幼稚園の時にPTA活動に参加するようになって、幼稚園のバザーに何かやってみようということになって、そのときに実際やってみたら楽しくて」
富永さんは現在、鳴門市にある自宅の2階にアトリエを構え、展覧会に出したり雑誌に載せたりするための作品や、講習会で使う作品の図案などを作成しています。
心がけているのはオリジナリティ
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「この作品って、この先生の作品よねって、みんながわかる作品を出すことが作家として大事なので。見てもらって、富永ゆかりの作品ですよっていうのがわかるようにと思いながら描いています」
心がけているのは、見た人が自分の作品だとわかってもらえるようなオリジナリティ。
絵の具を混ぜ合わせて色を作り、繊細な筆遣いで作品を作り上げていきます。
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「いかがでしょう」
富永さんの作品はフクロウや猫をモチーフにしたものが多く、可愛らしい丸い目が特徴です。
作品そのものとともに富永さんが力を入れているのが、トールペイントの図案づくりです。
一から描くのではなく、あらかじめあるデザインに色を塗って完成させるのもトールペイントの楽しみ方のひとつ。
富永さんが行っているのは、そのための図案作りです。
絵の具の分量や塗り方など、細かいところまでメモにしていきます。
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「こういう下絵、図案と、どの絵の具使うよとか、描き方の手順とか、全部お料理のレシピとかと同じ。レシピがあるんですよね。それがトールペイントなので」
こうした図案は、トールペイントの専門誌に掲載されます。
去年はアメリカのウェブマガジンにも取り上げられました。
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「プレッシャーもあるんですよ。めっちゃプレッシャーを感じながら、次何描こう、何描こう、どういう風にしようって思いながら描くのも、ストレスでもあり、喜びでもあり、自分のここだけでしていたら繋がってない世界と繋がれるというのもあって、それがきっかけで去年はアメリカの雑誌に作品が載ることになったり。わからないけど、ミラクルなことが起こってすごいありがたい」
取材した記者も体験
富永さんは創作活動だけでなく、トールペイントの体験講座や小学生向けの絵画教室なども開いています。
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「一応体験用にはこういう風にある程度やってくれていたらハードルが下がるというか、楽しいところだけ体験してもらえるよっていう」
取材した新井木乃美記者も、実際に体験させてもらいました。
今回体験したウェルカムリースづくりでは、下書きをした図案に決められた色を塗っていくので、絵心がないと思っている人でも挑戦しやすくなっています。
(新井木乃美記者)
「なぞっちゃうけど…」
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「なぞるというよりも、つぶしていく方が。葉っぱの、葉脈の方向を考える」
葉っぱが塗れたら、次は花を描いていきます。
パレットに先生が描いてくれたお手本を見ながら、慎重に黄色と白の絵の具を配置します。
仕上げに葉っぱや花に陰影をつけて立体感を出せば完成です。
(新井木乃美記者)
「できました。結構お花とかチョンと乗せるだけできれいに描けるので、とてもかわいい作品が出来上がりました」
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「初めてとは思えない。すごいかわいく、筆遣いがとってもお上手でした。楽しく描いていただけてよかったです」
初めての人でも楽しく挑戦できるのがトールペイントの魅力、生活の中にあるすべてのものがキャンバスになります。
ティーカップやガラス瓶、眼鏡ケースも、そして足袋まで。
元は無地でシンプルだった足袋が、着物に合わせて選べるデザイン足袋になりました。
(トールペイント作家・講師 富永ゆかりさん)
「ハードルが高いじゃないですか、絵を習いに行くとかいうのは。へたくそやったら恥ずかしいしとかもあるんですけど、トールペイントはほんとに絵の具と筆を使う塗り絵と思ってもらったらいいので。30年ぐらい前にすごいブームだった頃から一周回って、ほとんどの方が知らないと思うので、男性女性、老若男女関係なく、暮らしの中を楽しくする一つのアイテムとしていろんな方に知ってもらえたらなと思ってます」
手軽にできて生活に彩りを添えてくれるトールペイント。
富永さんは、これからもその魅力を発信し続けます。
富永さんは2月に、神山町でネコ好きの作家らで開く作品展にも作品を展示します。
また、富永さんの開くトールペイント教室を体験したいという方はメールアドレス(tomichan826@gmail.com)か、SNSなどから事前に連絡の上、ご予約下さい。