図書館が抱える課題 増え続ける本の収容スペース確保や価格高騰…環境は年々厳しく 一方で利用者は増
たくさんの本に出合うことが出来る図書館ですが、いま本の収容スペースが足りない問題や物価高の波に直面しています。
「知の拠点」とも言われる図書館の現状を取材しました。
開放的な空間に多くの本が並べられている大分県大分市の県立図書館です。
社会科学や歴史の専門書、戦前の本もあり、蔵書数はおよそ124万冊と県内一を誇ります。
いま、年々増え続ける本の収容スペースの確保が課題になっています。
その対策として新たに設置された場所に今回、特別に案内してもらいました。
◆県立図書館 宗千晶さん
「こちらが昨年の12月に新しく出来た書庫になっております。総記、哲学、歴史といったような30年以上前の古い本をこちらに収めています」
一般には開放されていないこちらの場所。およそ5万冊の本を収容出来ます。
ただ、本は毎年およそ2万冊増え続けているため、このスペースも将来的にはいっぱいになり、他の空いているスペースにも限りがあります。また、県立図書館は古い本を数多く蔵書しているが故の悩みも…。
◆県立図書館 宗千晶さん
「本が傷んで買い直したいなと思った時に、絶版していてて残念に思うことことが多くなってきた」
「今、10年くらい経ったら買い直すことが難しくなってくるような状況になっている」
昔に比べて絶版になるのが早くなっているといい傷んできた本をどうするのかも課題として残されています。
図書館が抱える問題は他にも…
◆わらべの館 穴井則子さん
「(予算が年間)280万円くらいあるのですが、本が高くなっているので」
「欲しい本をどれを買うかというところにすごく悩んでいます」
玖珠町が運営するこちらの図書館はおよそ8万2000冊のうち、半分以上が児童書です。親子で過ごせる憩いの場にも物価高の影響が及んでいます。
本の平均販売価格は年々上昇していて、1993年には1094円だった価格が紙などの価格高騰を受け、2023年は1285円と過去最高となっています。
こちらの図書館でも去年は2000冊ほど買うことが出来ましたが、2024年は購入数を100冊ほど減らしたということです。
◆わらべの館 穴井則子さん
「子どもさんの本も入れたいし、やっぱり一般の方向けの人気のある本も入れたい。限られた予算の中でバランスをどう取っていくかというのが、すごく悩み」
子どもからお年寄りまで多くの人に親しまれている図書館。
普段何気なく使っている場所も課題を抱えながら運営を続けています。
さて、本を書店で買う人も多いかと思いますが、書店の数は、電子書籍やインターネット通販の普及もあり全国ではここ20年で、ほぼ半分に減っているんですね。
このように紙の本を取り巻く環境は年々、厳しくなっているんですが、一方で図書館の数というのはわずかですが増えています。
これはなぜかと言いますと、本の価格が高くなっているため図書館で無料で借りる人が増えたことや、無料Wi-Fiが整備されビジネス目的の人が利用者が増えるなど、図書館のサービス向上による需要の増加が挙げられます。
図書館の最大の魅力は今まで知らなかった本に出会えることです。
ぜひ、最寄りの図書館に足を運んでみてはいかがでしょうか。