【特集】「堅苦しいイメージ変えたい」華道に魅せられ転身、独立…生け花の魅力を未来へつなぐ
日本の伝統文化「生け花」の魅力を発信し続ける男性がいます。建設業界からの転身、そして独立。華道に魅せられた男性の思いを取材しました。
甲府市和戸町の生花店「hanauta」。さまざまな草花と向き合うのは店主の清水宏次郎さん(47)です。
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「霧吹きをして葉をふいてというのが毎日の作業。やっぱり自分も植物が好きだし花も好きなので」
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「(お客さんに)少しでもいい状態を見てもらって選んでもらえるとうれしいので、できるだけきれいな状態で保ちたい」
観葉植物やテラリウムなど個性豊かな商品が並ぶ店内。お客さんの要望に合わせたフラワーアレンジメントや花束の販売も手掛けています。
そんな清水さんのもう一つの顔。それが華道家、清水一宏です。
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「できるだけ自然の状態のものを四季も大切にして、その時の色合いなど、ここ(花器)に小さい世界を表現できればと思っている」
華道の道を歩み始めて20年あまり。おととし、国内の権威ある生け花コンテストで入賞を果たしました。
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「一番始めは花に興味があったわけではなく、たまたま働いていた会社の社長の奥様が生け花教室をやっていて。『一回やってみてもいいですか』というところからスタートして。最初はできると思っていた、何もやったことはないが。」
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「10年やっている方の作品を見たら、あまりに違いすぎて。同じ花材なのに違う作品になるのが衝撃的で。ちょっと悔しさもあった」
建設会社で働きながら、生け花の流派「日本古流」に入門。後進を指導できる立場にまでなりました。そんな時、清水さんの内に芽生えた、ある思い。
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「独立したいと思っているんですけど」と声を掛けたら、先生が快く後押しをしてくれた。『薪に花いけばな』というのが流派の名前」
建築業から花屋へ。そして3年前、流派からの独立。大きな決断の裏には、華道を取り巻く環境への危機感がありました。
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「生け花自体が難しくて堅苦しくて、気軽にアプローチできない。そこが世間のみなさんが思っているイメージと生け花をやっている人との差がすごくある」
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「そこを変えていかないと、これから生け花をやる人が減ってしまう気がする」
より気軽に華道に触れてもらうため、様々な工夫を凝らした生け花体験教室をスタート。
教室の生徒は
「通いやすいのが(稽古の)曜日が決まっていなくて、都合に合わせて稽古をしてくれるので。生け花の先生というと厳しくて怖いイメージだったが、清水先生は気さくな方で同じこと聞いても優しく教えてくださる優しい先生」
華道のすそ野を広げるため、自身の息子にも生け花の魅力を伝えます。
清水さんの息子は
「自分一人では全部できないので、先生の力を借りて思った感じに花を生けられて良かった」「(生け花の)形とかを覚えられるので楽しい」
昨年度からは県内の小学校に出向く「出張生け花教室」も始めました。
hanauta 店主 清水宏次郎さん
「その場で花を生けて、生け花の様子を見てもらった後、実際に剣山に花を挿す体験をしてもらって。子どもの反応は面白くて、楽しかったという子もいれば、面白くなかったという子も。本当に純粋な反応なので、より楽しく生け花を感じてもらえるように、やっていければいいなと思う」
花に触れ、自然を知り、美しさの調和を表現する華道の世界。その魅力を未来につなげるため、清水さんは挑戦を続けていきます。
(YBSワイドニュース 2024年11月14日放送)