【特集】14年ぶり復活!「高源寺文庫」“みんなで集える場所に”再開決めた母娘の思い 山梨
2010年に地域に惜しまれながらも閉館した私設図書館「高源寺文庫」が11月、14年ぶりに復活しました。老若男女が集う地域の憩いの場を目指し、再開を決めた母娘を取材しました。
甲府市高畑にある「高源寺」。
本堂の隣にあるのは2010年に閉館した「高源寺文庫」です。
14年ぶりのオープンをあすに控えたこの日、元住職の妻・斉藤洋子さんと娘の美由紀さんは棚に置かれた本に不備がないか、チェック作業を行っていました。
高源寺文庫 斉藤洋子さん
「久しぶりに文庫がオープンできる。とてもうれしい気分です」
高源寺文庫は45年前の1979年に開館。年に1回、子どもたちがおもちゃや漫画本を販売するガラクタ市や、近所のお年寄りが手芸品の販売などを行う「文庫まつり」が開催されるなど、長い間、地域の拠り所として親しまれてきました。
高源寺文庫 斉藤洋子さん
「子どもたちがいっぱいいたり、段ボールの家を作ってみんなで絵を描いたり。小さい子みんなお姉ちゃんたちがこうやって遊んでくれたりね」
しかし、寺の代替わりなどもあり2010年、惜しまれながらも閉館することに。
それでも洋子さんは文庫が地域で果たしてきた「つながりの輪」が失われることに一抹のさびしさを感じていました。
そんな母の思いに娘の美由紀さんは気付いていました。
斉藤洋子さんの娘・美由紀さん
「せっかくのこの空間を使わなきゃもったいないというのと、母が30年間やってきて。一生懸命やってきたので、それを引き継ごうかなと」
高源寺文庫 斉藤洋子さん
「娘の声がなければ、私も動かなかったんじゃないかなと思います」
図書館司書として、母の思いに寄り添いたいー。母と娘、二人三脚で復活に向けて準備を進めてきました。
高源寺文庫 斉藤洋子さん
「いろいろな人が来てくれればと思うんですけど、今は子どもが少ないでしょ。だから子どもでなくてもここへ足を運べる人はどなたでも結構ですから、本を介してみなさんの居場所になっていただければと思います」
再開に向け本も新たにそろえ直し、子ども向けに約3000冊、大人向けに約1000冊、そして市立図書館からも200冊の配本を受け、図書館としての「機能」も充実させました。
そして迎えた、リニューアルオープン当日ー。閉館以前の光景と同じ、部屋を埋め尽くすほどの親子連れがやってきました。
来館した女性
「お久しぶり。本当にうれしいです」
斉藤洋子さん
「またよろしくね」
来館した女性
「未来につなぐっていうのが、すごくいいね」
14年ぶりに訪れた人
「楽しみに待っていたんで。なつかしいですね。久々にこんなに人がいっぱいでうれしいです」
幼少期に訪れていた人は
「小さい時に来てました。子どもの頃の思い出の場所でもあるし、ここでたくさんの絵本に出合って、私をつくっている一部でもあるのかなという気持ちになった」
オープンに合わせて駆けつけた地域の人たちが、かつてのように人形劇や絵本を披露すると会場は大盛り上がり。
高源寺文庫 斉藤洋子さん
「本当にみなさんが再開を喜んでくれて。私も少し無理してる面もありましたけど、再開してよかったなと思っています」
高源寺文庫 斉藤洋子さん
「ここではお茶菓子を持ってきてもいいし、みんなでお話をしもいいし、赤ちゃんを抱っこしてきてもいいというふうに、みんなで集える場所がここであればいいなと思っています」
読書だけでなく、地域の人と人をつなぐ憩いの場「高源寺文庫」。洋子さんの視線の先には今も昔も変わらない、笑顔あふれる老若男女の姿がありました。
(YBSワイドニュース 2024年11月5日放送)