【特集】富士山麓で「ヴァルトビューネ」開催へ 開館30年で“夢”実現 世界的音楽イベントにかける思いとは?
今年で開館30周年の節目を迎える山梨県富士河口湖町の河口湖ステラシアター。夏にはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による世界的な野外コンサート「ヴァルトビューネ」が開催されます。実はこのイベント、河口湖ステラシアターが追い続けてきた“原点”ともいえる存在。節目の年に実現することになった裏にはコロナ禍のある“出会い”がありました。
富士山の麓の野外音楽堂「河口湖ステラシアター」です。
1995年の開館以来、住民参加型の音楽祭やトップアーティストのコンサートなどが開かれ、山梨の音楽文化の中核を担ってきました。
そして開館30周年を迎える今年の夏、世界的な音楽イベントがドイツからやって来ます。
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「まさかヴァルトビューネがベルリンから出るという発想自体がない企画だった」
ヴァルトビューネは1936年、ドイツのベルリン郊外に建てられた野外音楽堂です。
毎年6月に開かれる世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルの野外コンサートは世界中から2万人が集まる初夏の風物詩。
ピクニック気分で楽しむクラシック・コンサートです。
実はこのヴァルトビューネこそ、河口湖ステラシアターの“原点”なのだと館長の野沢藤司さんは振り返ります。
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「小澤征爾さん指揮の(ヴァルトビューネの)映像をステラシアターが建設中の1994年の11月に見る機会があって、感動的なシーンばかりで。いつかこんなフェスティバルをやってみたいな、という思いがあった」
ドイツ以外での開催は40年の歴史で初めてのこと。実現のきっかけは4年前、音楽業界を苦しめたコロナ禍での出会いでした。
フジテレビで音楽イベントのプロデューサーを務める佐手麻珠さんです。
ヴァルトビューネ河口湖 制作プロデューサー 佐手麻珠さん
「コロナ禍の時に、とあるオーケストラを招へいしなくてはいけなくて(ステラシアターで)練習をさせてもらえないかという相談だった」
ヴァルトビューネ河口湖 制作プロデューサー 佐手麻珠さん
「会場を見せていただいたら、“これはヴァルトビューネだ”と直感的にひらめいた」
ヴァルトビューネ河口湖 制作プロデューサー 佐手麻珠さん
「それを野沢さんに伝えたら『実はヴァルトビューネを目指してここを造ったんだよ』と話したので驚いた」
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「あのフェスティバルの魅力は素晴らしいよね、ということを話し合ったことを今でも覚えている」
ヴァルトビューネで意気投合した2人。火が付いた野沢さんは佐手さんとドイツに向かい、ベルリン・フィルに直接、ヴァルトビューネ開催への思いをぶつけました。
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「(ベルリンの)現地も森の中に造られた劇場になる。本番の時に鳥が入ってきて音楽を楽しんだりしている」
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「自然の中で音楽を楽しむというところが、河口湖ステラシアターも全く同じロケーションになるので似たような雰囲気と訴えた」
そして、願いが現実のものにー
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「(Q.OKが出たときの心境は?)まさかこんなドラマチックなことが出来るということ自体、普通はありえない」
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「ベルリン・フィルハーモ二ー管弦楽団のみなさんも自然の中で楽しめる場所として、心寄せていただいたのかなと感じている」
富士山を望む会場での公演を前に、ベルリンからも期待の声が届いています。
指揮者/グスターボ・ドゥダメル
「日本の河口湖ステラシアターで行われるヴァルトビューネで、このプログラムを披露するのは特別な喜びです。日本ツアーを前に思うことは、いつでもとてもエキサイティングです!」
ベルリン・フィル ゼネラル・マネージャー/アンドレア・ツィーチュマン
「富士山のすぐ隣にある河口湖の美しい舞台で演奏します。みなさまのご来場を心よりお待ちしています」
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「河口湖での公演を楽しみにしているんだなと十分に感じられたので、町ぐるみで出演者のみなさんをおもてなしできるような仕組みを準備して本番に臨みたい」
富士の麓に音楽の文化を根付かせようと走り続けた30年。ヴァルトビューネはその“ごほうび”なのかもしれません。
河口湖ステラシアター 野沢藤司 館長
「現地は2万2000人も入る大きな劇場なので音響を使っているが、河口湖では“生音”で演奏するので、ヴァルトビューネの歴史的な瞬間と本番の素晴らしさを楽しんでもらいたい」
「ヴァルトビューネ河口湖」は7月5日と6日に富士河口湖町の河口湖ステラシアターで開催されます。