「植物由来の食材」おいしく! 肉を使わず工夫…大手商社がレストラン開店 海藻から作られた“エビ”も
植物由来の食材をおいしく楽しめるお店や取り組みが、海外や日本でも広がっています。日本の大手商社は植物由来の食材を使用したメニューが味わえるレストランをオープンしました。ニューヨークで行われた展示会では、“最先端の植物由来の食品”が出展されました。
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東京・港区に今年7月、大手商社が手がけたというレストラン「ITOCHU SDGs STUDIO RESTAURANT 星のキッチン」がオープンしました。特徴的なのが、環境にも優しい食材を使った料理を提供していることです。
伊藤忠商事 Corporate Brand Initiative 佐藤綾香さん
「植物由来の食材を使用したメニューを一部提供しています」
ボロネーゼはお肉とたっぷりのチーズがかかっているように見えますが…実は、大豆で作られています。(焼きナスのソイボロネーゼ 1500円)
記者が食べてみると、「お肉もチーズも、大豆だと言われないと気がつかないような味と食感」だといいます。
ほかにも、豆乳とアーモンドミルクで作られたアイスなど、植物由来でできたメニューがたくさん!(wellbeans×ハンデルスベーゲンのオリジナル豆乳アイス ※トッピングバー付き650円)
お客さんにも好評だということで、体に気を使って、植物由来のメニューを選ぶ人も増えているといいます。
お客さん
「健康志向、体に良さそうなところ。レストランにあると試してみようと思う。ダイエット中のときも、お肉よりも植物性由来のものを選ぶ」
伊藤忠商事 佐藤綾香さん
「新たな食の世界を広げるきっかけになればいいなと」
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植物由来の食材への関心は、海の向こうアメリカで近年さらに高まっています。
7日にニューヨークで行われた展示会では、キノコ由来のベーコンや、空豆などから作ったチーズやサラミなど“最先端の植物由来の食品”を200以上の企業が出展しています。展示されていたキャビアやトビコ、エビは海藻から作られたもので、本物の安価なキャビアと比べても2割ほど安く販売されているということです。
製造会社の担当者 ヘンス・クリスチャン・モラーさん
「本物の冷水エビは、アイスランドやグリーンランドあたりで乱獲が激しいのです。海藻を熟成させて混ぜ合わせて作るんです」
技術革新で、植物由来と感じず食べられる食品が増えたことで、2021年の市場の売り上げは前の年と比べて7%増加しました。
ニューヨークでは、提供する全ての料理を植物由来にしている三つ星レストランもあります。関心の高まりについて、ニューヨークのトップシェフは次のように分析します。
ニューヨークトップシェフ エリック・リペールさん
「人々は完全に動物の肉の利用をやめずに、どうしたらおいしくて健康で環境に良いと思える食事を今の生活に取り入れられるかと考え始めているのです」
たくさん肉を食べる生活から、肉や卵を食べないビーガンに切り替えることで、温室効果ガスの排出が約75%減らせるというデータもあります。アメリカでは、気候変動問題や環境への意識の高まりから、普段肉を食べる人にも植物由来の食品への関心が広まりつつあるというのです。
ニューヨークでは今、こうしたレストランが増えていて、肉・卵・乳製品を一切使わないイタリア料理店では、チーズの代わりにカシューナッツから作られたクリームや、パスタソースに絡まったひき肉の代わりにマッシュルームを使ったり、ミートボールは、キヌアや豆などを混ぜて肉に見立てたりしています。
店内は多くのお客さんでにぎわっていました。
レストランの客
「私がビーガンになった25年前は、手に入るのは茶色い豆乳と豆腐ほどでした。今ではニューヨークなどの大きな都市にあるこうしたお店では、メニュー全てがビーガンで素晴らしいです」
「昔はビーガンにしてはおいしいけど、普通の食事としてはおいしくないものが多かったですが、今ではビーガンの食事もおいしいです」
環境に優しいだけでなく、さらにおいしくなっていく植物由来の商品は、今後さらに増えていきそうです。