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企業トップに聞いた「今年の賃上げ」三井不動産・植田俊社長

2024年1月6日 18:00
企業トップに聞いた「今年の賃上げ」三井不動産・植田俊社長
約30年ぶりの賃上げ率となった昨年に続き、今年も賃金上昇への期待が高まる経済界。春の労使交渉(=春闘)が始まるのを前に、三井不動産・植田俊社長に賃上げの見通しなどについて聞きました。

■今年の日本経済は?

「令和6年能登半島地震で亡くなられた方々、遺族の方々に心からお悔やみを申し上げますし、被災された方々にお見舞いを謹んで申し上げたいと思います」

「こういったスタートではあるが今年は失われた30年のピリオドを打てるか勝負の年だと思っていますし、勝つんだという強い意志をもってやっていかなくてはいけない年だと思っております。デフレの時代というのは、付加価値を作ってもやはり安い方が良いということになるので、その努力が報われない。心も萎縮してイノベーションが起きない負のスパイラルがあったと思うんですが、デフレから脱却することによって付加価値を作りイノベーションが起こり、何よりもそれを正当に評価していただく、いい循環が起きてくると思います」

「世界が地政学的には分断に向かって動いていますけれども、その結果の一つとして日本のサプライチェーンが、国内回帰を始めたり、グローバルマネーが日本に向かっているという非常に明るい要素もあります。本当にこれは日本にとってすごくよいチャンス。逆に今年やり遂げられなかったらどうするんだというタイミングに来ているので、去年一年、私が感じたことは、世界のどこに海外出張しても、物価、一人あたりのGDP、一人あたりの賃金、これはグローバルに見ても本当に寂しい状況で、日本が貧しくなったなということを実感したが、もう一度開き直って、さあ反撃だということをやるこの一年なんだろうなということで、いい年にしたいと思います」

■今年の賃上げは?

「私どもはよく建物をつくっている、ハードをつくっているという意味での不動産デベロッパーと思われがちなんですが、実際には都市に豊かさとうるおいをということで、まちづくりを通じてさまざまな付加価値を作っている企画会社といっても過言ではないと思います。そういう意味では人材が財産と言い切っても過言ではないと思っています。そういう意味では付加価値創造の根源にあります人材に還元をしていきたいということで、ベアも含めまして処遇改定もいたしまして、10%程度の賃上げを実現したいなというふうに思っております」

「そうすることで、個社としても微力ではありますが、成長と分配の好循環によるデフレの脱却に寄与したいと思っておりますし、グループ全体も底上げをしていきたいと思っておりますので、今年に限らず継続的に実施することで、良い循環をという一助になりたいなと」

――賃上げ10%、2桁は大きいが過去には?

「過去最大ですね、思い切って。人材が財産なので惜しまずにと思っています」「若手の方々も当然軸足を置いて、処遇が上がるようには考えています」

「30年間賃金とコストを抑制して利益を出すのが正しいと信じてやってきたことが、実は間違っていたのではということで、30年ぶりに気がついたパラダイム転換だと思います。ただ、地政学的な状況の中でサプライチェーンの日本回帰だったりグローバルマネーが日本に向かっているという非常に良い状況もあるので、この状況をうまく活かして2024年、実り豊かな年、昇り龍の年にしていきたいと心から思っています」

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