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日銀“大転換”…17年ぶり利上げ 住宅ローンは?「まだ変動型の方がお得」 一方、中小企業は経営資金の返済で…「正直つらい」

2024年3月20日 5:55
日銀“大転換”…17年ぶり利上げ 住宅ローンは?「まだ変動型の方がお得」 一方、中小企業は経営資金の返済で…「正直つらい」

19日、メガバンク3行が相次いで「預金金利を上げる」と発表しました。そのキッカケがマイナス金利政策の解除です。日本銀行が17年ぶりに利上げに踏み切ったのです。35年ローンで新築の一軒家を買ったばかりの人からは…。

■35年ローンで家購入「小さな変動でも首しめられる思い」

19日夜、「news zero」が訪ねたのは、2年前、横浜市内に“夢のマイホーム”を購入した伊藤さん。

伊藤さん(29)
「今日なんですね? 今日? もう? 知らなかったです」

驚いていたのは、19日、日本銀行が明らかにしたこの発表。

日本銀行 植田和男総裁
「マイナス金利政策といった大規模な金融緩和政策は、その役割を果たした」

伊藤さん(29)
「まず、なんのこっちゃって感じで、家を買って2年たつんですけど、やっと生活が落ち着いてきたなって頃にお金のやりくりとか大丈夫かなって、すごく不安な気持ちでいっぱい」

私たちの今後のお財布事情が変わるかもしれない日本銀行の大きな方針転換。2007年2月以来、17年ぶりとなる「利上げ」が決まりました。



この決定に19日夜、投資家たちが集まるバーで話を聞きました。

広告会社の投資家サークルのメンバー
「株がこれによってどう動くのか注目してます」

会社員(40代)
「大胆に動いたなって」

会社員(50代)
「歴史的な1日だった」

そして街の人にも聞きました。

みずほ銀行ユーザー
「金利が5円とか6円ついても全然うれしくないので。多少は(金利が)増えたら楽しみが増えるかなと」

去年“変動金利”で戸建てを購入した人
「全然、給料が上がっていないので、ただただ物価が上がっている中で、(今回の決定は)『えっ』て思った」

街の人
「結局はどこが、どういうふうに安くなったんですか!? 高くなったんですか!?」



様々な声が聞かれた17年ぶりの利上げ。21日から約8年間続いた「マイナス金利」が解除されることになります。

私たちが銀行に預金しているように、日銀に金を預けている銀行側。これまでは銀行が金を預ける場合、一定量を超えるとマイナスの金利をかける、つまり、預けた側に“手数料”が発生していました。こうすることで、日銀に預けるよりも個人や企業に金を回した方が良いと思わせ、経済を活性化させようとしていたのです。

今回、そのマイナス金利を解除したことで手数料がなくなり、銀行に余裕ができることになります。

東京スター銀行のトップは、日銀がマイナス金利政策の解除を決めたことを伝える速報を見て、笑みを浮かべて何度もうなずいていました。

東京スター銀行 伊東武頭取
「個人のお客様からすると、預金に金利がつく世界が戻ってくる可能性が高いと」

私たちにとっての利上げのメリットの1つは、「預金の金利」が上がることです。

利上げのニュースを聞き、自分の預金口座の1つを確認した女性は…

自営業(40代)
「何円くらいあるんですかね…」
「1円…あってもなくても一緒ですよね」

70代
「いい金利の時に生きていたから、利息で旅行行けたり。100万で6万円利息。そんな時代がありました。だから(利上げは)待ち遠しい」

今回の決定に、メガバンク3社は早速、普通預金などの金利を引き上げることを発表。

三菱UFJ銀行は、21日から普通預金の金利をこれまでの20倍の0.02%に、三井住友銀行も来月1日から同じく0.02%に引き上げます。みずほ銀行も引き上げを行う予定だということです。

では、「住宅ローン」はどうなるのでしょうか。

2022年にマイホームを購入した伊藤さんは、月々の返済シミュレーションを見せてくれました。

夫婦で35年のダブルローンを組んだ伊藤さん。ずっと金利の変わらない「固定型」ではなく、金利が低いかわりに利率が見直されるリスクもある「変動型」を選びました。

伊藤さん
「固定のローンよりも(金利が)上回ることはほぼほぼないだろうと当時言われて、将来を見据えて変動を選んだので。今回こういうことになって、どっちの方が得なんだろうとか、ローン組み直した方がいいのかなとか思っているんですけど。家って大きな買い物なので元の額が高い分。小さな金利が変動しただけでも首をしめられる思い」

住宅ローンアナリストの塩澤崇さんは、今回の金利引き上げ幅であればまだ固定型より変動型の方がお得な状況は続くと指摘しています。

■中小企業からは「正直つらい」

懸念の声が上がったのは、鹿児島のブランド牛を使った1000円以上の弁当が並ぶ肉弁当店。

肉弁当 戸越銀座本店 エリアマネジャー
「(仕入れの)コストが上がってきているのが現状で、利益がかなりひっ迫されている」

すでに今の物価高で厳しいといいます。

――経営資金の返済額が上がる?

肉弁当 戸越銀座本店 エリアマネジャー
「(金利引き上げに)つられて上昇が見込まれる。正直つらい、厳しい」

城南信用金庫が中小企業811社に行った調査では、55.7%が金利上昇への不安があると回答しています。(※13日~15日調査)

日銀は「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」と説明。”急激に金利が上がることは避けられる”としています。

■景気のブレーキになる影響は小さい?

有働由美子キャスター
「マイナス金利を解除しても、日本の経済が(持続的に)成長していくためには、どうしたらいいと思いますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「僕は大丈夫だと思っています。めっちゃ成長すると思っていたいです」

「例えば、株価が一時的に下がると、一般的な人は不安になって株を売っちゃったりしますよね。NISAなどは長期保有が前提で積み立てるものなので、変動の影響を受けづらいなと思っていて、だから、マイナス金利をもし解除しても株価が急激に下がることはないかなと思います」

「積み立てNISAの目的だったタンス預金→貯蓄→投資というサイクルがうまくいっているので、マイナス金利が景気のブレーキになる影響は小さいんじゃないかと思ってます」

有働キャスター
「とはいえ、株価はその時々で動くので、こちらもしっかり見ていきたいと思います」

(3月19日放送『news zero』より)