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攻めの農業で輸出拡大へ

2016年1月1日 23:22

 2016年度の農林水産分野の予算は、2兆3091億円となった。前年とほぼ同水準であるが、強調されたのは「攻めの農業」。日本の農業の競争力を強化するため、本腰を入れる。

 難航していたTPP(=環太平洋経済連携協定)交渉は2015年10月、大筋合意に至った。多くの農産物では関税撤廃に合意しており、日本の農業には厳しい内容であるとの声も多い。そうした中、政府は2015年11月に「TPP関連政策大綱」を決定し、輸出拡大など「攻めの農業」を推進するとした。

 日本の農林水産物・食品の輸出額は2014年には、1955年に統計を取り始めて以来、過去最高を記録。2015年1月から10月の農林水産物・食品の輸出額も6029億円と前年同期比23.2%増と好調な伸びとなっていて、過去最高を超えるのは確実となっている。

 こうしたことを受け、政府は輸出額1兆円目標を当初の2020年から前倒しでの達成を目指している。その達成のために農林水産省が力を入れている政策の一つが地理的表示保護制度だ。

 地域の特産品をブランドとして政府が認定し、2015年12月、農林水産省は第1弾として「夕張メロン」や「神戸ビーフ」など7品目を登録した。現在50を超える申請中の農産品に関しても、引き続き登録の手続きを進めている。

 地理的表示の保護制度で登録された農産物について国内で無断で名前を使用した場合、罰金が科されることもある。しかし、この罰則は、現在は原則として国内でしか適用されない。今後、条約等によって海外との間で相互保護の枠組みが作られれば、海外でも日本のブランドが保護されることになる。

 実はTPPが発効されると、参加する12か国の間では、この相互保護の枠組みが適用されることで合意している。そして日本は、この枠組みをヨーロッパなどにも広げるため交渉を進めたいとしている。

 日本の「食」を積極的に世界に発信し、輸出額の拡大につなげられるか、2016年はその大きなカギを握る年となりそうだ。