仕事、イクメン、三重県知事、語る 3/5
三重県知事の鈴木英敬氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「盆踊りや葬式に参加するのが政治家の仕事か?」。
2009年、同級生も親戚もいない三重から衆院選に出馬するも、落選。残ったのは多額の借金と、奥さまの元シンクロナイズドスイミング五輪メダリストの武田美保さんだったそうです。
■政治家を目指したワケ
――なぜ政治家を目指そうと思われたのですか?
元々、政治に関心があったということもありましたけど、一番大きなキッカケは第一次安倍政権のスタッフとして官邸に出向させていただいた時に、安倍首相がやろうと思っていることを、足をひっぱる官僚もいれば、国民からの負託を受けて選挙を通った政治家の中には、政策を作るというよりは盆踊りとか葬式ばっかり行って、政策を作ったりするというようなことに努力をされない方もいらっしゃった。
じゃあ、これを変えるにはどうしたらいいのかという時に、官僚のまま偉くなって足をひっぱらない官僚になるのか、あるいは政治家になって、政策立案もしっかりやっていく政治家になるのか。
これを考えた時に、官僚で偉くなるのは20年くらいかかるので、やはり政治家になってスピード感を持って変えていくことに飛び込んでいこうと、そんな思いからでした。
――でも落選もしてしまいましたし、つらいこともあったのではないですか。
落選は大変でしたね。選挙に落ちると、人がどんどんいなくなるんです。全く、人が離れていきます。今まで挨拶してくれた人も、全然挨拶していませんし、自分を応援してくれていた中小企業の社長が取引を停止したりとか、すごく大変なこともありました。
借金もたくさん抱えましたし、今も返していますけど、妻にも負担をかけて夫婦げんかも一番多かった時期だと思います。
でも、その時に支えてくれた人とか、その時に見た地域の現場の状況というのが、その次に知事になっていこうというモチベーションにつながったというか、覚悟につながりましたね。
■知事として「県民の切実な声に寄り添う」
――知事として、県民のために一番大切に思っていることは何ですか。
やっぱり、住民の切実な声に寄り添うということです。落選してすごくつらいことがあった中で、生活をやっていけたのは周りの人たちの支えがあったからです。
多くの人たちが、楽しいこともあるけど、切実な声がたくさんあるので、そういうことに寄り添っていく、現場を大切にしていく、そんな思いで知事をやらせていただいています。
■幸せ、もっと実感してほしい
――鈴木知事は就任以来、幸せに関する意識調査を県民に行っているそうですね。
私は兵庫県と東京都に長く住んでいたんですけど、三重県は本当にいい食べ物とか、素材とかあるんです。けれど、幸せを実感しているというのが、目に見えないなというのがあったので、今ある自分たちの地域をもっと好きになって幸せを実感してほしい。そんな思いで調査を行っています。