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仕事、イクメン、三重県知事、語る 1/5

2016年5月12日 19:56
仕事、イクメン、三重県知事、語る 1/5

 三重県知事の鈴木英敬氏に聞く「飛躍のアルゴリズム」。1つ目のキーワードは「『サミット本体誘致に手を挙げようと思います』『わかりました』誘致は首相との2人きりの会話から始まった」


■安倍首相になかなか言い出せなかった

――サミット開催地をめぐっては、8つの地域が誘致活動を進めてきました。三重県は、候補地の中では最も遅い8番目に開催地として名乗りをあげました。当時は“後出しジャンケン”とも言われ批判もありましたが、鈴木さんは事前に安倍首相とお話をされる機会があったのですか?

 元々、三重県は関係閣僚会合のほうに手を挙げていました。しかし、周りの人からは「せっかくやるんだったら、本体をやったほうがいい」という声が出ていました。

 私も年末年始、色々悩んだあげく、年初に安倍首相が伊勢神宮に参拝されたときに「本体の誘致に手を挙げたいと思っているんです」と言おうと心に秘めて随行していました。しかし、なかなか言うチャンスがない。そして、安倍首相が近鉄の特急に乗って帰る直前に「本体の誘致に手を挙げたいと思います」と申し上げました。

 安倍首相は公平な方ですので「わかりました」と一言おっしゃって、その後、1月21日に正式に外務省に提出をして誘致を表明したということですね。


――勝算はあったのでしょうか?

 全く、勝算とかはなかったんです。しかし、日本人の伝統とか精神性、あるいは美しい自然、さらに世界平和に向けてメッセージも出せます。そういうふさわしい場所であると、自分たちが一番だとは思っていました。しかし、何か勝てる根拠とか、誘致が決まる根拠とかはありませんでした。

――ダメだったら県民たちはショックですよね。

 そうですね。後から出したということがありますし、洞爺湖サミットのときは、後から出した北海道が決まっていますから、そういう意味では自分の政治生命にも傷がつくかもしれないというのはありました。

 しかし、こういう世界最高峰の会議を呼んで、唯一無二の経験をすることが、地域の総合力のアップにつながると信じていました。これは、平成二十五年に伊勢神宮の式年遷宮があり、こういう経験が地域作りに絶対重要だと思いました。まあ、リスクもありましたけど、手を挙げさせてもらいました。


■開催決定の決め手は

――どこが認められたと思いますか?

 やはり、伊勢神宮を中心とした日本人の心のふるさとといわれる精神性や、賢島を中心とした美しい自然、また、安倍首相が式年遷宮の行事に来ていただいた。そういうところは、やはり、安倍首相も強い思いがあったのではないでしょうか。さらに、自分で言うのもなんですが“働きかけ”も、自分自身で動いた数というのは多かったのではと思います。

――具体的にはどのようなことをされたのですか?

 普通だと、事務方の人をたくさん連れて、要望とか陳情とかに行くのが多いと思います。しかし、安倍首相に直談判をしてはいけないことになっていたので、私は首相周辺の関係者に自分で作った資料を持って行き、こういう思いですから、ぜひ開催を決めて下さい、というような膝詰め談判みたいに行ったのは多かったですね。

――サミット開催で期待していることは?

 三重県とか伊勢志摩というのは、世界のほとんどの人々が知らないと思います。知名度があがることが、地域としては一番大きいです。観光に来てもらうにも、投資をしてもらうにも、住んでもらうにも、選択肢にあがらないといけませんから、選択肢にあがるためには知名度が必要です。

 さらには色々な経済効果なども期待できると思いますね。

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