唯一無二:最先端を紡ぐエアウィーヴ4/5
株式会社エアウィーヴ・高岡本州会長に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「売り上げ鈍化の危機…類似品も。次の舞台はアメリカ、そして中国。カギは“眠りを科学すること”」。鈍化した売り上げを復調させた高岡氏の戦略とは?
■類似品の出現
――「売り上げが鈍化」していったとありますが、あれだけ勢いがあったのにどういった所に原因があったのでしょうか。
エアウィーヴは、ぱっと売れましたので、ひとつ成功パターンというものが自分たちにできたわけです。そうすると、その成功パターンから抜け出せないような部分があります。
エアウィーヴという商品が売れると、世の中に「エアなんとか」とか「なんとかエア」とか、似たような商品がたくさん出てくるわけです。そして、よく似た売り方をされる。消費者から見ると、間違って買ってしまったりするわけですね。
その時に、我々が正しいメッセージと、正しい価格帯などをマスに向けて商品ラインを広げていく努力をちょっと怠り、ハイエンドばかり狙っちゃったという部分がちょっとあったわけですね。ひとつはそれで若干売上が鈍化したというのがあります。
その次はやっぱり海外。同時に海外を狙ってアメリカ、中国という新しい市場に出ていくという事をやったということですね。
■“ベッド文化”のアメリカでは…
――そこからどのように、復調していったのでしょうか。
非常におもしろかったのが、アメリカにエアウィーヴを持っていった時です。エアウィーヴは薄いパッドですのでベッドの上に敷いてもらうんですけど、アメリカ人からするとパッドというのは100ドルの商品なんですね。つまり、ベッド文化に慣れているアメリカ人からすると、(パッドが)厚くないと良くない。日本人はお布団の文化ですから、「薄くても機能がある」というのは通じるんですね。
アメリカに行ってわかったことは、やっぱりマットレスを作らないといけないだろうと。そこで、厚いマットレスを作ることにしたんです。
このマットレスは非常に機能が良くて、全て洗えて、清潔な商品なので、実は、アメリカに行ってマットレスを作ったと同時に、日本でもマットレスを今年の春から売り始めました。この10月から4種類の商品を出しているんですけど、今もうすでにこれが売上の2割を占めてます。
考えてみたら2年ぐらい前にもうすでに厚いマットレスを出していたんですね。だけど、やっぱり成功の勝ちパターンに入ってしまって、薄いパッドでもっと伸びるだろうと思っちゃって、類似品と戦うということにエネルギーを使った。でも、類似品と戦うよりも、新しい次なる世界に行った方がやっぱりよかったということですね。
■“睡眠研究”でアプリも
――そこで発想の転換があったわけなんですね。もう1つ、“眠りを科学すること”とはどういったことなんでしょうか。
睡眠の研究をするということです。私どもは今、“睡眠のアプリ”を出しています。波のようになっているのは、ノンレム睡眠とレム睡眠のパターンです。これをベッドの横に置いていただいて寝てもらうと、この睡眠のパターンが出て睡眠効率が出ます。ですから、こういうとこで“睡眠の質”を世の中の皆さんにわかっていただく。
実は、我々はこの睡眠のアプリを作る前に、スタンフォード大学と4年ぐらい睡眠の研究をしています。そういう研究をしてこのアプリを作って、皆さんに睡眠の質に注目してもらい、寝具に興味を持ってもらう。こういう活動になってくるかと思います。
――横に置くとぐっすり眠れているというのがわかるのでしょうか。
そうですね。(アプリの表示を見て)ここで睡眠の効率性のパターンが93%。私はおとといアメリカから戻りましたんで、戻った日の睡眠は非常によくなくて、波が良くないですね。
――そういったのが正確に出るようになっているんですね。今や、寝ている時間も数字で表せるようになっているわけなんですね。