勢力図激変コンビニ業界 2017年展望は
【勢力図が変わった2016年】
コンビニ業界にとって2016年は、勢力図が大きく変わった1年だった。4月には業界のけん引役だったセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が突然の引退表明。ファミリーマートは「サークルKサンクス」を傘下に持つユニーグループ・ホールディングスと経営統合し、店舗数で業界2位に浮上した。また、ローソンは、商社大手の三菱商事の子会社となることで経営を強化する狙いだ。競争が激しさを増している3社に2017年の展望を聞いた。
【コンビニ大手3社2017年の展望】
業界首位のセブン-イレブンは、2017年、店舗数が2万店の大台を超える見込みだ。グループにとってもコンビニは一番の柱の事業で、グループ力を高めるためにも、今後も、経営に力を入れる方針。イトーヨーカドーやアカチャンホンポなどをグループ内に持つ強みを生かし、衣服からベビー用品までさまざまなものをコンビニの店頭で受け取ることができる「オムニ7」をうまく活用していきたいとしている。
ファミリーマートは、経営統合で店舗数が1万8000店になり、首位のセブン-イレブンを猛追する。店舗数が増えたスケールメリットを生かし、コスト削減だけでなく、商品開発にも力を入れるなど質の向上も目指す。ブランド転換を順次進めていて、2019年までに全ての店を「ファミリーマート」に統一する。
ローソンは、日常使いできる店づくりで競争力を高めたい考え。少子高齢化や働く女性の増加などを背景に、徒歩圏内で買い物ができるコンビニで卵や牛乳、シャンプーといった日常品を購入する人が増えているといい、2016年は商品を数多く置けるようにするため、棚を15センチ高くして、アイテム数を約500種類増やした。2017年も、日常品や総菜などの商品を強化していくという。
また、3社が口をそろえて言うのは、「コンビニは社会変化対応業だ」ということだった。社会が変わるにつれて、人々のニーズもめまぐるしく移り変わる。そのニーズにどれだけ敏感になれるかが、競争の激しいコンビニ業界で生き残るカギを握っている。