日本のアニメ・マンガ「コンテンツ輸出」右肩上がりも… 人手不足の現場は?
日本が誇るアニメやマンガなどのコンテンツ産業。しかし、ある“危機的な状況”が指摘されています。その状況を改善するため、政府が打ち出そうとしている対策とは?
29日、東京・渋谷区の「Nintendo TOKYO」には、たくさんの海外観光客があふれていました。そのお目当ては、世界でも大人気の日本のゲームのグッズです。
イギリスからの観光客
「任天堂グッズを集めているんだ。40個は持っているよ! ここだけで2万円は使ったね」
アメリカからの観光客
「予算は…ふっとびました。ほとんどお金残っていない」
「(2週間で)30万円つかったよ」
使うお金も高額です。
今や、観光の目的にもなる日本のゲームやアニメ、映画などの「コンテンツ産業」。輸出額は右肩上がりで、2022年に過去最高の約4兆7000億円にまで成長しています。
4月に開かれた「新しい資本主義実現会議」では、政府が初めて「コンテンツ産業」のさらなる成長を目指して、クリエイターによる海外展開などの支援の検討や、取引についての実態調査の実施などの論点を示しました。
その会議には、アカデミー賞を受賞した山崎貴監督らも参加。次のような問題点を指摘しました。
「ゴジラ-1.0」など監督 山崎貴監督(先月・官邸)
「日本のコンテンツ産業、映画とかそういうものに対しての支援自体がまだ整備されていない部分がある」
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では、制作現場の実態はどうなっているのか? 約40年、人気アニメ作品を制作してきたスタジオを訪ねました。
株式会社たくらんけ 動画監督(東京・練馬区)
「描きやすいように、紙は動かしていっちゃって…」
キャラクターを動かすための画は、1枚ずつ手描きで描いています。
一般的に30分のアニメで描く枚数は、約4000枚から6000枚。デジタル化が進んでも、このいわゆる「手描き」の工程は変わりません。
日本アニメの人気と売り上げは順調に拡大して、この10年で製作されるアニメの本数は1.5倍に。作る本数は増えても…
株式会社たくらんけ 近藤康彦プロデューサー
「労働環境だとか、給料の問題とか、いろんな問題が複雑に絡み合って、若い人たちが(業界に)入っていきづらい状態になっている」
人手不足は続いているといいます。「長時間労働」や「低賃金」など、いわゆるブラックな環境のイメージも広がっているというアニメ制作の現場。
業界団体は、待遇改善のため、制作現場に売り上げが還元されるよう訴えています。
日本アニメフィルム文化連盟 福宮あやの事務局長
「日本のアニメの関連市場規模は3兆円あると言われている。それに対して制作現場におりてくるお金が3000億円弱。10分の1以下しか入ってきていない」
そのほかにも、人手不足解消のため、クリエイターを育てるスキル検定の仕組みを作っているということです。
政府は、6月半ばにまとめる経済財政運営の指針、いわゆる「骨太の方針」にも、コンテンツ産業の支援を反映させたい考えです。
世界で愛される日本のコンテンツ。さらなる成長のための方策が、いま求められています。