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「収入は費用のわずか0.4%」の線区も!大赤字ローカル線が増加~どうする地域の足 検討始まる

2022年4月30日 10:00
「収入は費用のわずか0.4%」の線区も!大赤字ローカル線が増加~どうする地域の足 検討始まる

地方を旅していて、乗客がとても少ない鉄道に乗り合わせることはないでしょうか? 人口減少や移動方法の変化で地方の鉄道では赤字路線が広がっています。そんな中、「国鉄末期以来の大転換」につながるかもしれない検討が始まりました。

■費用の1%も稼げない…JR西日本のデータ

4月11日、JR西日本は、2017年度~2019年度平均で区間の輸送密度(=平均通過人員)が1日2000人未満の17路線30区間の収益を公表しました。中には、必要な費用の0.4%しか収入がない線区もあり、多くはこの先も赤字が続く見込みです。長谷川一明社長は「全てをこれまで通り、ということは難しい」と話しました。JR東日本も、こうしたデータの公表を検討しています。

1987年の国鉄分割民営化に際しては、都市部の収益でかかえる形で赤字ローカル線をJR各社が引き取りました。それ以降、鉄道は「赤字でも存続するのが当然」のような存在としてここまできています。しかし、人口減少に加え道路整備の進展で地方では車で移動する人が増えました。今では、地方の拠点をつなぐ幹線でも、輸送密度がとても低い線があります。

新型コロナウイルスの感染拡大で都市部の乗客も減り、政府はコロナがおさまったとしても完全にコロナ前には戻らないと見ています。乗客があまりに少ないと、「大量輸送」ばかりか、CO2の排出が少なく「環境に優しい」という鉄道の利点も充たせません。

一方で、鉄道は旅行者にもわかりやすく、鉄道だけが通学の頼りという高校生もいます。政府はこうした、地方の鉄道や公共交通を今後どうするかという有識者の議論を、今年2月にスタートさせました。

■経営を立て直した路線は…

地方の第三セクターの鉄道などでは、地元と一緒になって利用者を増やし、経営を立て直した例があります。

茨城県の「ひたちなか海浜鉄道」は地元のひたちなか市や住民と連携して、利用者を大きく増やし黒字を達成しました。5つの小中学校統合に合わせて新駅をつくり通学の利便性をあげたり、地元のイベント・観光地とのタイアップ、オリジナルグッズの販売などもして経済効果を生みました。

富山県の「あいの風とやま鉄道」は、ファンクラブをを作って地域と連携。ダイヤ設定や乗り継ぎを改善したり新駅を開業して、利用者が増えています。

また、災害で不通となった鉄道では、維持せずにバスなどに転換した例もあります。JR北海道の日高線の一部は、バスの登校時の便や停留所を増やすなどしてアクセスが良くなり、「鉄道以上の利便性」と評価する声が寄せられているといいます。

ただこうした地域との連携は一部で、JRの線など多くは自治体などとの話し合いも行われていません。赤字の放置は次世代の重い負担にもつながります。

地域の公共交通をどうすればいいのか?鉄道ありきでも廃線ありきでもなく、方策をそれぞれの地域で考える必要があります。

■「自分ごと」として再構築を

国交省の有識者検討会は、利用者を惹きつける公共交通の再構築を目指して、鉄道事業者と沿線自治体が膝をつきあわせて協議し、国も支援する方向で議論しています。

赤字路線でも「鉄道特性」つまり、全国ネットワークとして必要だったり、鉄道がなくなった場合にその地域の街づくりや医療福祉にマイナスの影響があるなどの特性を尊重しながら、バスなどへの転換も視野に、利便性・持続性が高い方策で関係者の合意を目指します。

政府はこうした合意に対し、総合的な支援をする方向です。

利用者増やコスト削減の努力でも賄えない赤字の補填は、結局のところ都市部の運賃収入などをあてる事業者の「内部補助」か、国・自治体からの財政支援になります。もし国の補助金をいれるなら、次世代を含めて広く負担する国民が納得する形でなくてはなりません。

新たな視点を入れながら、地方の公共交通をどう再構築するか。まずは事業者・自治体・地域の住民が自分ごととして最善の策を探ることがスタートとなります。

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