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“究極の駅弁”経営難のローカル線を救う?

2019年2月25日 20:17
“究極の駅弁”経営難のローカル線を救う?

一流シェフのフレンチの3段重の駅弁、伊勢エビを一匹使用した香草焼きなどのイタリアン…。これらはローカル線を運営する鉄道会社が経営改善のための起爆剤として車内で提供している料理だ。この経営努力の効果は?

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■フレンチ3段重を味わいながら日本海を一望!

「えちごトキめき鉄道」が運行する「雪月花」。冬は真っ白に積もる雪の中を、春は満開のサクラを横目に走る。大きなつくりの窓からは冬の日本海を一望でき、時に駅弁を手売りする日本の原風景や、雪国衣装を身にまとった地元のボランティアによる心温まるお出迎えも。

そして何より“鉄道の旅”に欠かせない楽しみといえば、列車内でいただく食事。「雪月花」では、見た目が鮮やかなフレンチ3段重が提供される。新潟県の調味料「かんずり」を使ったサンドイッチなど地元の食材にこだわり、ミシュランで星を獲得した東京のシェフが監修する、いわば“究極の駅弁”だ。

ローカル列車とは思えないにぎわいを見せるが、実は「雪月花」を運行するこの鉄道会社、トンネル内にある名物駅「筒石駅」を無人化せざるを得ないほどの赤字に陥っている。

えちごトキめき鉄道・嶋津忠裕社長「うまいものを車内で召し上がりながら旅を楽しんでいただく。こういった形でやっていくことが、この地域の活性化につながれば」


■伊勢エビやアワビを使った本格イタリアンも!

経営難にあえぐ中、「食」にかけるローカル鉄道はほかにも。千葉の房総を走る「いすみ鉄道」では、伊勢エビをまるまる一匹使用した香草焼きや、肝を使ったソースでいただくアワビなど、地元・外房の海でとれた素材をふんだんに使用した本格イタリアンが提供される。その裏には細かい気配りも…。

この料理を考案し、提供している地元のイタリア料理店では、列車の発車時間ぎりぎりまで調理し。箱の中に湯たんぽを入れるなど、列車に運び入れる方法も工夫している。

総料理長・佐々木遼太さん「厨房(ちゅうぼう)がなくて古い列車なので、保温という方法でしか持って行けないので」

少しでも温かいまま料理を提供することにこだわっている。このおもてなしの心が功を奏し、列車はほぼ満席状態に(イタリアンコースの運行は日曜日のみ)。この列車の運行を開始して以来、客足は順調に伸び続けているという。

いすみ鉄道・長谷川俊則総務部長「景色も見ながらおなかも満腹。全身で満腹感を味わっていただいて、おみやげに帰っていただければと思います」


■生き残りへ…“サバイバル弁当”の中身は?

一方、会社経営のまずさから、「まずい棒」というお菓子を販売するなど何かと話題の「銚子電鉄」。今回、新たに「駅弁」を売り出したが、その名前はなんと…。

銚子電鉄・竹本勝紀社長「“鯖威張る(サバイバル)弁当”でございます。(Q.もう一回、聞いてもいいですか?)“鯖威張る弁当”」

“鯖”が“威張る”ようにドーンと弁当の中に入っていることと…。

銚子電鉄・竹本勝紀社長「当社は経営がサバイバルという言葉にかけている」

“まずい”経営状況はもはや“サバイバル”に。“生き残り”をかけたこの駅弁は、地元の居酒屋が製造している。サバの水煮缶をたっぷり使用した炊き込みご飯の上に、地元・銚子の漁港で水揚げされたサバの切り身をぜいたくに3切れも使用。今やこの弁当を目当てに遠方から訪れる客もいて、販売と同時に売り切れることもあるという。

銚子電鉄・竹本勝紀社長「がんばって生き残ってほしいという、応援のメッセージもいただいている。なんとかして100年目指してがんばりたいなと」