新元号 新貨幣手がける“唯一”の名工は…
1日、平成にかわる新たな元号が決定し、発表される。大阪市北区の造幣局から中継。
造幣局の工場では、1日午前9時すぎ現在も、平成最後の貨幣の鋳造が進められている。機械で貨幣の表と裏に模様をつけている。
実は4月1日は造幣局の人事異動の日ということもあって、900人近い職員が朝から落ち着かない状況のなか、新しい元号の発表を今か今かと待っているところ。中でも、この造幣局で最も新しい元号に関係の深い、造幣局・装金極印課の土堤内靖作業長に話を聞く。
──貨幣のおおもととなる「種印」というもの、本物は門外不出だということで、写真を借りてきた。やはり、かなり貴重なもの?
土堤内靖さん「この年銘がはいった種印は、毎年、ひとつしか作らないので、大変、貴重なものになっております」
──この年号の部分を新たに作りかえるということだが、土堤内さんが彫るのだろうか?
土堤内靖さん「私を含めて数名で担当していきます」
──すべて手彫りで?
土堤内靖さん「機械彫りをしまして、機械で彫れないところを手彫りでなおしていくという感じになります」
機械で彫った修正前のものと手彫りをした後のもの、比べてみると鮮明さが全然違う。
実はこの土堤内さん、日本で唯一、10円玉の表に描かれている宇治平等院鳳凰堂を彫ることができる人なのだ。大阪の優秀な技術者に贈られる「なにわの名工」にも選ばれていて、まさに造幣局の宝ということになる。土堤内さんは高校卒業後、新卒でこの造幣局に入り、貨幣の作り方をいちから手取り足取り先輩に教わったという。彫る道具もすべて手作りだ。
──この技術、どれぐらいかかって習得されたのだろうか?
土堤内靖さん「貨幣に関しては、十年たってやっと作業をさせてもらうようになりました。十円を彫れるようになったのは、勤続20年を過ぎたころからです」
何十年もかかって習得する技術、一朝一夕にはまねすることができないので、土堤内さんの存在自体が貨幣の偽造防止に一役買っているという。
──まもなく発表だが、どのような気持ち?
土堤内靖さん「この日を迎えましてドキドキしていますが、きっちりと仕上げていく気持ちでいます」
──その瞬間、どのようにご覧になるのでしょうか?
土堤内靖さん「作業はしているのですが、11時半ごろ、作業をちょっと抜けさせてもらいまして、テレビで見たいと思います」