子連れママ向けで大繁盛?飲食店の新境地
今、子ども連れをターゲットにした飲食店が増えています。背景にあるのは、苦境に立たされる外食産業の新しい取り組み。売り上げが1.5倍になった店もあるといいます。
■“手作り離乳食”を無料提供したところ―
店先で子どもと一緒に並ぶお母さん。ここは、東京・世田谷区にあるファミリーレストラン「100本のスプーン FUTAKOTAMAGAWA」です。行列の理由は――実は、こちらの店では離乳食を無料で提供しているのです。
担当者「(Q:いま何をしているんですか?)今は初期の離乳食の野菜のだしをとっているところです」
秘密は毎朝30分かけてとっているという野菜のだし。そのだしを使い、子どもの成長に合わせて、おかゆもお米の硬さを変えるなど3種類を用意。なぜこんなに手間をかけてまで離乳食を無料で提供しているのでしょうか。
大西料理長「離乳食を無料で提供することによって、お客様の注目度も上がる」「お母さんが、このこと(離乳食無料)によって、リピーターになってもらって、他のお客様(ママ友)を連れてきていただける。そういうところに狙いがあります」
■ママ向けのイベントで確実な集客
国内の飲食店の数を示したグラフがあります。2013年には、104万店以上あった飲食店が2019年には、約101万店と減り続けているんです。そこで、飲食店が生き残りを目指し、新たに目を付けたのが、子どもを持つママたちです。
世田谷区にあるイタリア料理店「イルソーレ ガオ」では、開店前にある取り組みを始めていました。ママたちが熱中しているのはフラワーアレンジメント。子どもと一緒に母の日のプレゼントを作っていました。
ほぼ毎日このようなイベントを行っていて、去年1年間で4000人以上が参加。魅力は他にもあります。
利用者「このまま仲良くなった方とランチを食べることができるので大変うれしいです」
辻シェフ「8割の方にその後(イベント後)、ランチをご注文いただいているので、イベントを開催することでお店の集客にもつながっています」
確実なお客さんが見込まれ、売り上げに貢献しているのだそうです。
■カップル向けから大転換
さらに、もともとカップル向けにオープンした渋谷区のお店「チャノマ 代官山」も、子ども連れのママをターゲットに変えました。このお店では、テーブル席だった奥のスペースをくつろげるようにマットに変更。すると――
倉岡店長「お子様連れのお客様に向けてのお店にかえたところ、大繁盛しまして」
いまや、客の約8割が子ども連れ、売り上げも1.5倍に伸びたといいます。
利用客「床が柔らかいので、全然あぶないとかもない」「ソファとかだと、常に抱っこしてなきゃいけないので、こうやっておいておけるのは、いいなと思いました」
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子どもにつきっきりで忙しい子育て。子どもと一緒に外出したい親のニーズを満たすお店が、今後どのように広がっていくか注目です。