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生きた「毛ガニ」産地で販売できず…なぜ?

2019年7月11日 19:05
生きた「毛ガニ」産地で販売できず…なぜ?

様々な調理法で楽しめる「毛ガニ」。北海道では産地ごとに漁の期間を設け、年間を通して水揚げしている。ところが、いま、生きた毛ガニを産地で販売できない事態が起きている。どんな背景があるのだろうか?

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ちょっとしたぜいたく気分を味わわせてくれるカニ。中でも、その濃厚な味で愛されるカニといえば「毛ガニ」。炭火でじっくりと焼いた身をねっとり濃厚なカニミソとあえていただく甲羅焼きや、ほぐしたカニの身をたっぷりとのせ、ダシをかけていただくお茶漬け。そして、何といっても一番のぜいたくは、白く透き通った身が美しく食感はぷりっぷりのお刺身。

様々な調理法で楽しめる毛ガニ。鍋の具材として使われることから、旬は冬というイメージを持つ人がいるかもしれないが、全国トップクラスの水揚げを誇る北海道では、産地ごとに漁期を設け年間を通して水揚げしている。

そして、これから本格的なシーズンを迎えるのが噴火湾沖で水揚げされる毛ガニ。地域を代表する夏が旬の味覚だが年々、1割、2割仕入れ値が上がっているという。さらに、生きた毛ガニを扱う鮮魚店からはこんな嘆きも。

渡辺鮮魚店・山本涼子さん「室蘭の市場の中で仕入れができなくなるということで、生きたカニをお客様に提供できないことになると、ちょっと残念です」

地元でとれたカニを産地で販売できなくなる事態が起きている。その背景に、室蘭市の近海ではカニの漁獲量が近年減少の一途をたどり、2017年の段階で既に価格が高騰していた。

こうした中、10日、この海域では漁が解禁されたものの、室蘭漁協は“採算性”などを考え、今シーズンは漁を行わないことを決定した。夏のイベント「毛がに祭り」も3年連続中止の見通しとなるなど、産地を襲う深刻な不漁。懸念する声は都内にある飲食店でも聞かれた。

北海道の毛ガニは飲食店にとっては欠かせない存在。一方で、年々仕入れ値が上がり続ける状況に。毛ガニの価格高騰はいつまで続くのか、不安の声が広がっている。