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“カレーでおいしく”食品ロス削減 「廃棄ケーキ」「外来種」を具材に 「廃棄米」も

2024年6月3日 20:17
“カレーでおいしく”食品ロス削減 「廃棄ケーキ」「外来種」を具材に 「廃棄米」も

日本テレビは今週、「グッドフォーザ・プラネット」グップラ・ウイークとして、地球にいいこと、人にいいことを紹介していきます。 3日は「食品ロス削減」についてお伝えします。日本の国民食ともいわれているカレーですが、捨てられてしまう食材をカレーの具材に活用してロスを削減する取り組みを取材しました。

「カレー」とは無縁の存在に思える「ケーキ」ですが、なんと「ケーキを入れたカレー」が存在するといいます。

横浜市のケーキ店「パティスリーブーケ」。カレーに入れる“ケーキ”はキッチンにありました。ふわふわに焼けたスポンジケーキをカット。ただ、上下についた焼き目は、ケーキの食感を損なわないよう捨てざるを得ない部分でした。

パティスリーブーケ・パティシエ 力石加耶子さん
「やっぱり、硬くなっちゃうので、そこはいつも落として。焼き色が強くて口当たりがパサついたものになってしまうので」

食べられるのに捨てられる部分があると知り、どうにかしたいと考えたのが、授業で食品ロスについて学んだ地元の小学生たちです。焼き目を砕き、新感覚の「レトルトカレーの具材」にすることを考案、商品化にこぎつけました。

パティスリーブーケ・パティシエ 力石加耶子さん
「聞いたときはビックリしたんですけれども、すごい甘いわけではなく、ちょうどよく、スパイシーな香りが立つカレーですね。廃棄されるところがお客さまにも食べてもらえる商品にもなるということはすごいうれしい」

商品化をサポートしたのは、都内にあるレトルトカレーの販売・開発を手掛ける会社「モッタイナイバトン」です。ケーキ店の食品ロスにとどまらず、高校生とタッグを組み生態系を脅かす「外来種」をもカレーの具材にしていました。

日本で2番目に大きい湖、茨城・霞ヶ浦。湖のエビやワカサギを食い荒らすのは、食欲旺盛で繁殖力が強い特定外来生物「アメリカナマズ」です。

立派な体とヒレに鋭いトゲを持つため、漁師が網を破られたり、けがをさせられたりすることもある“困った存在”も今年3月、レトルトカレーとして発売されました。(ぶんじカレー チャネルキャットフィッシュカレー 550円)

記者
「スパイスのいい香りがします、いただきます。ナマズはしっかりとした食感なんですけれども、味は淡泊でその淡泊な味をカレーのうま味が包み込んでいます」

捕獲してすぐのアメリカナマズは、臭みや肉質などそのまま食べるには不向きだといいます。

そこで捕獲した後、地元の養殖場で1年ほど、決められたえさだけを与え、おいしく食べられる状態になったアメリカナマズをカレーの具材に。たんぱく源として活用しながら“迷惑”な外来種を減らすことが期待されます。

大阪には今、問題となっている「異常気象」に向き合うカレーがありました。きっかけは米を育てる農家の悩みでした。

西河農園 西河大輔さん
「こんなのです」

記者
「あ、こういう白い」

西河農園 西河大輔さん
「結構、気温が高いのでお米も高温障害になりやすくなっています」

年々深刻化する極端な猛暑や雨不足など。去年の夏、日本の平均気温は統計開始からの125年間で最高となり、地球温暖化がなければ起こりえなかった記録的な高温となりました。

米は実る時期に気温が高いと生育が悪くなり、白く濁ったり、緑色の未熟なまま収穫されたりして廃棄される米が増えるといいます。

大阪の西河農園では、気温だけが原因ではないものの“廃棄米”が全体の1割ほどに増加したといいます。

西河農園 西河大輔さん
「消費者の方が好んで食べないものになるので流通しにくい」

事態を打開したいと乗り出したのは、大阪市内でだしをベースにしたカレーを提供する飲食店の経営などをする会社です。

ジパングフードリレーションズ 安藤育敏社長
「まだ食べることができるのにもったいないなって」

“廃棄米”を買い取り「米粉」にすると、小麦粉の代わりにカレーのとろみづけに活用。和風のだしカレーと米粉は相性がいいといいます。

ジパングフードリレーションズ 安藤育敏社長
「より自然なとろみになりますし」

カレーを入れる「レトルトパウチ」にも地球温暖化による「異常気象」に歯止めをかける工夫がありました。

記者
「このレトルトパウチ、紙でできているんです」

熱湯に耐えられる特殊な紙を使うことで、アルミのレトルトパウチと同じように湯煎で温めることができます。この紙製パウチは、一般的なアルミのレトルトパウチに比べ、プラスチックの使用量を約25%、製造時のCO2排出量を約17%削減できるといいます。

TOPPAN株式会社 奥山訓さん
「紙を主材料にすることでプラスチック量を減らしました。製造時のCO2が多いアルミ箔(はく)の使用を少なくする」

異常気象の原因の一つとなる「地球温暖化」を食い止めるには、温室効果ガスのCO2を減らす必要があり、製造や焼却処分でCO2が出るプラスチックを減らすことも第一歩です。

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暑さがこたえるこれからの時期、カレーを食べながら過ごしやすい地球にするためにできることを心がけてみませんか?