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春闘スタート 物価高「賃上げ」どうなる? 中小企業に2つのハードルが…

2024年1月25日 6:07
春闘スタート 物価高「賃上げ」どうなる? 中小企業に2つのハードルが…

■「賃上げ」どれくらい上がれば実感できる?

有働由美子キャスター
「『5%以上アップ』、これは24日、事実上スタートした今年の『春闘』で労働者側が求めている賃上げ率です。去年の賃上げの結果が3.58%でしたので、それを超える目標ということです」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「24日、街の人たちに『どれくらい上がれば賃上げを実感できるか』聞いてみました」

サービス業(20代)
「税金とか年金とか高いし、将来のこと考えて貯金ってなると(月)3~5万円上がったらうれしいな」

不動産業(26)
「物価高なので、もうちょっと生活水準上げたい。いま(年)800万くらいなんですけど、4桁いくと全然違うかなと」

サービス業(24)
「スーパーで買い物するときにこんな小さくてこんなに高いんかと。(月)2万円上がると、リアルなラインで助かるかなと」

有働キャスター
「物価高に賃上げが追いついていかないと実感が持てない、ということですよね」

小栗委員長
「そうですね。そこで2つのポイントを見ていきたいのですが、まず、物価高を超える賃上げとは?」

「みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは『今回の春闘が、消費を持ち直す好循環のカギになる。少なくとも、去年を超える3.8%くらいのアップが必要。そうすれば、物価上昇が鈍ってくる予想の秋以降に賃上げを実感できるのではないか』ということです」

■中小企業の賃上げに2つのハードル

有働キャスター
「賃上げというと、約7割の人が働く中小企業は去年も上げました。今年も上げるということは本当に可能なのか、どうかというところですが…」

小栗委員長
「東京商工リサーチの調べでは『賃上げ幅が去年を超えそう』と答えた中小企業は11.3%、それどころか『賃上げできそうにない』と答えた企業も17.9%程度あったんです」

有働キャスター
「ここをどうしたら上げられるか、ということですよね」

小栗委員長
「そのためにどうしたよいのか…2つのハードルがありまして、1つ目は『価格転嫁の難しさ』です。全国の中小企業の約6割が、人件費の増加分を価格に全く反映できない、あるいは3割以下の反映にとどまると回答しています」

「ある情報サービス業を営む企業は、『エネルギー価格が上がった分は価格に転嫁しやすいが、賃上げ分の転嫁には難色を示す取引先が多い』と答えていました」

「もう1つのハードルは『根強いデフレマインド』なんですね。酒井主席エコノミストは、『これまで中小企業は“いいものを手ごろな価格で売る”ことをよしとしてきたが、賃上げできる資金を確保するためにはこれからは“いいものを高く売る”というマインドに変えていくことが必要』だと指摘しています」

■「買う側の意識」変えるため必要なことは

有働キャスター
「売る方もですが、我々買う方の意識も…というところになりますが、辻さん」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「デフレしか知らない我々世代としては、例えば給与も上がり、経済が好循環していく、そういう元気な空気感を一度も、ある意味経験していないので、想像しづらい人も多いのではないかと思います」

「だからこそ、給料が上がらないのは自分の能力の問題だと思ったり、『そういうもんだ』と諦めてしまっている人もいるのかなと思います。となると実感できるほどの賃上げや、経費回復の兆しを感じて初めて、買う側の行動も変えていけるのではないかなと思います」

「一方で『推しは推せるうちに推せ!』という言葉もありますけど、それも大事だと思います。新型コロナウイルスの感染拡大でも皆、痛感したように地元のお店や中小の商品は応援の文脈でお金を使うことも、中長期で見ると必要なことかなと思います」

有働キャスター
「そのためにもということになりますが、2024年をデフレから抜け出して『好循環』を作るチャンスだと政府は位置づけていて、まずはこの春の賃上げが重要なんだとしています。本当にできるのか、その口火を切る大企業には日本経済全体への貢献を考えて大胆な還元をしてほしいです」

(1月24日放送『news zero』より)