【独自】危ぶまれる“タイヤの存続” バス会社の新たなSDGs
SDGsへの新たな取り組みを始める総合商社、バス会社、タイヤメーカーの3社の試みを取材しました。
■天然ゴムの生産には“児童労働問題”が潜在
都内のあるバス会社。タイヤが向かった先は…大きなタイヤが描かれたラッピングバス。新品タイヤがゆっくり、はめ込まれます。
一見、普通の、このタイヤ。しかし、“ある課題”を解決するかもしれません。バスなど、車に不可欠な「タイヤ」。しかし、その主原料・天然ゴムのおよそ85%は、東南アジアなどの小規模農家で生産されています。
伊藤忠商事・物流物資部、北村プロジェクト担当「家族経営の農園になりますので、児童労働の問題であったり、強制労働であったり、そういった問題も潜在している」
幼い子どもたちが、劣悪な環境で働かされている現状も。
北村さん「各国の規制も厳しくなってきていますので、強制労働といった人権問題がないか、そういったものが証明されないと、なかなか取引ができない」
■「タイヤの存続」のため専用アプリで情報を追跡
課題は「タイヤの存続」。そこで伊藤忠が始めたのが「PROJECT TREE」。専用のアプリを通じ、天然ゴムが「いつ、どこで作られたか」「違法な環境で作られていないか」など、情報を追跡できる仕組みです。
伊藤忠は現地会社を通じ、賛同する農家に対し、農具などの提供や、今後の持続的な供給のため、農園管理についての研修も行っています。
■責任ある一員として環境、人権課題に取り組む
この取り組みに今回、初参画するのが、東急バスと「TOYO TIRE」。
東急バス・サステナブル推進部、井原部長「グローバルなサプライチェーンの中での責任ある一員として、環境や人権の課題について今後、取り組んでいきたい」
東急バスは、自社が使うタイヤのおよそ900本をこの“TREEタイヤ”に順次、はき替えます。このバスがその第1弾。あらゆる人が環境や人権を考えるきっかけになればと、日本でバスが運行し120年となる9月20日から都内を走ります。