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“海草”が地球を救う?……日米取材 地球温暖化で注目

2023年7月9日 12:49
“海草”が地球を救う?……日米取材 地球温暖化で注目

NEWSイチから解説、きょうは気候変動問題を日本テレビとアメリカの3大ネットワークの一つNBCニュースと一緒に考えます。
ことし5月末から6月にかけて日本テレビはSDGsについて、アメリカのNBCテレビは4月に気候変動問題について、キャンペーン報道を行いました。同じテーマでも日米で違ったアプローチがなされていたので、それぞれを紹介したいと思います。

第2回は気候変動と「海藻」についてお伝えします。
日本では温室効果ガスの一つ、二酸化炭素を減らす吸収源として注目されている一方、アメリカでは、持続可能な食料として、養殖が急成長しているんです。

■海草が地球を救う?温暖化防ぐブルーカーボン

多くの人で賑わう砂浜で皆さんが探していたのは「アマモ」という海草の種です。
主に水深の浅い砂浜など、日本全国でみられる「アマモ」は“身近でできるカーボンニュートラル”として注目されています。

近年、頻発する大雨などの異常気象の原因といわれるのが二酸化炭素の急速な増加による「地球温暖化」です。地球の平均気温の上昇を抑えようと、日本は2050年にカーボンニュートラルの実現を宣言し、官民挙げた取り組みが始まっています。

その二酸化炭素の新たな吸収源として注目されているのが「ブルーカーボン」です。
私たちの生活などで出る二酸化炭素は、海水にも溶け込みます。アマモなどの「海の植物」は光合成で二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。この時“植物がため込む分の炭素”が、海の青さにあやかり「ブルーカーボン」と呼ばれています。

日本テレビは今年5月、東京ガスグループなどと一緒に「海の環境保全」のイベントを開きました。
二酸化炭素を吸収してくれる「アマモ」を増やすため、種を採取。採取した種は成熟させて、秋に海へ戻します。炭素の吸収量は、地上が19億トンに対し、海では29億トン。陸に比べておよそ1.5倍のポテンシャルがあるとされています。

■米国では海藻の養殖が急成長中…食べるだけでなく美容品やバイオ燃料に

一方、アメリカでは海洋資源を守るために海藻の養殖が注目されています。

地元水産関係者
「アメリカは消費する魚介類の90%を輸入しています。」

アメリカ国内で消費するシーフードを海外からの輸入だけに頼るのではなく自分たちで作ろうと貝や海藻を養殖する持続可能な取り組みが急成長しているといいます。海藻を食べるのが一般的ではないアメリカでは、地元のシェフが新たな調理法を提案しています。

地元シェフ
「海藻の用途は様々あります。人に食べさせるのが好きなのです。」
「環境に良いモノはあなたにとっても良いモノなのです。」

海藻が食べ物だけではなく美容品やバイオ燃料としても利用できることが注目されています。

■生活に影響を及ぼす やっかいな海草も

一方で、生活に影響を及ぼす厄介者の海草も。

リポーター
「後ろに見えるのは海藻のサルガッサムの毛布です。このあたり一面です。」

フロリダやメキシコ湾では、「サルガッサム」という海草が毎年夏にかけて大量に押し寄せ悪臭を放ち観光業などに大きな影響を与えています。

観光客
「足首まで海草が積もる中を歩くのは好きではないです。本当に不気味です」

大量発生した海草は宇宙からの衛星写真で見えるほどの巨大な塊で、環境や生態系に問題を起こしています。大発生の原因はまだわかっていません。
大発生したサルガッサムの長さは衛星写真にとらえられるほどで、実にアメリカ大陸の幅の約2倍におよぶということなんです。
海草は海にある分には、二酸化炭素を吸収したり、魚のすみかになったりするのですが、陸に打ち上げられると悪臭を放ち、フロリダやメキシコやカリブ海の国々では観光に影響が出て処理に困っているといいます。

■日本の技術で厄介モノの海草が環境に優しいプラスチックに!

ここに実は日本の企業が、一役買いそうなんです。
兵庫県にあるGSアライアンスという会社が、おととしサルガッサムから“分解できるプラスチック”を作ることに成功したんです。
熱にも強く、耐久性もあるため、フォークやスプーンなどプラスチックの代替品として使えるだけでなく、原料が海草なので、廃棄しても分解され土に還ります。
捨てられる海草を使うことで、脱プラスチックなど、海洋環境問題の解決にもつながります。

開発したGSアライアンスによると、プラスチック以外にも塗料などの化学製品への展開も検討中ということで、メキシコの企業と連携して事業展開を予定しているということです。国を超えて環境問題に協力できる好事例に繋がることが期待されます。