畑から始める“二酸化炭素削減” バイオ炭で作るクルベジとは?
地球の温暖化の原因といえば二酸化炭素を含む温室効果ガスですが、この二酸化炭素を削減するために畑で行っている意外な取り組みを小髙茉緒アナが取材しました。小髙アナが訪ねたのは千葉県佐倉市で農業を営む喜屋武誠司さん。
小髙茉緒アナ
「この畑で地球の温度を下げられると聞いたんですが、どういうことなんでしょうか」
北総クルベジファーマーズ会長 喜屋武誠司さん
「それがここにある炭ですね。この炭を畑に入れることでCO2(二酸化炭素)削減につながって地球の温度が下がります」
喜屋武さんが紹介してくれたのは、環境の改善などに効果があると、注目されているバイオ炭です。
バイオ炭とは、再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたバイオマスを使って炭化させたものだといいます。
こちらのバイオ炭は国内の間伐材から作られています。このバイオ炭がなぜ二酸化炭素の削減につながるのでしょうか?
木や花などの植物は、光合成で酸素を放出することで知られていますが、同時に二酸化炭素も出しています。また枯れた樹木は、微生物に分解されると光合成のために蓄積されていた炭素と酸素が結合し、二酸化炭素になってしまうのです。しかし、樹木が分解されている過程でバイオ炭にすることにより、炭素を閉じ込め、二酸化炭素を削減できるのです。
炭素を閉じ込めたバイオ炭は、畑に埋めることで酸素との結合を防ぎ、地球上の二酸化炭素の総量を抑えることにもつながります。バイオ炭を作るときのカギは、炎を大きくして無酸素状態にすること。こうすることで酸素と結合することなく炭化させられ、一般的な炭作りよりも二酸化炭素の量が少なくなるのです。
北総クルベジファーマーズ会長 喜屋武誠司さん
「このやり方のいいところは、簡単に割れるんで農家が農業資材として使いやすい」
去年は11トンのバイオ炭を製造して、約17.6トンの二酸化炭素の削減に成功したといいます。そのバイオ炭を使って作られたのが、サイクル(循環)&クール(冷やす)ベジタブル、略してクルベジです。
バイオ炭で育てた野菜、クルベジのレタスを見せてもらった小髙アナはその大きさに驚きます。
小髙茉緒アナ
「すごいりっぱなレタスですね」
バイオ炭の効果は、保水性や水質の浄化など土壌改良にも役立つといわれています。そしてバイオ炭が微生物のすみかになることで、土の中に養分も増え、おいしい野菜が育ちやすくなるそうです。小髙アナ、とれたてのレタスをいただきました。
小髙茉緒アナ
「甘い! しっかり厚みもあって噛みごたえもあるんですけど、でもやわらかくて今まで食べたレタスの中で一番おいしいです」
北総クルベジファーマーズ会長 喜屋武誠司さん
「農薬とか一切使わないでバイオ炭を入れて育てているんで、すごくおいしくなっているんだと思う」
クルベジは、インターネットで購入できます。
北総クルベジファーマーズ会長 喜屋武誠司さん
「(クルベジを)食べてくれる人が増えれば増えるほど、農家が(クルベジの)栽培ができるようになるので里山支援にもつながる。食べるだけでエコというのが一つのテーマになって作られています」