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東証大納会 株価ふり返り&今後どうなる?

2020年12月30日 17:09

東京証券取引所では今年最後の取引が終わり、大納会が行われました。新型コロナウイルスの影響を受け、ことしの株価はどう動いたのか。経済部・石井俊太郎記者が伝えます。

1年を締めくくる大納会が行われましたが、ことしは最後まで異例の東京市場でした。例年は600人ほどの関係者が集まり一年を締めくくりますが、今年は感染予防のために参加者を50人ほどに限定しての開催となりました。

これを象徴するように、今年の東京市場を振り返ると新型コロナの感染状況に応じて大きく乱高下した1年でした。

海外で感染が急速に拡大した2月25日。日経平均株価は一日だけで一時1000円近く値を下げました。世界経済への影響が深刻になると懸念が強まったため、この日を境にリスク回避の売り注文が先行し、3月19日には1万6552円まで落ち1か月ほどでおよそ6000円も株価が落ち込んだことになります。

しかしその後、株価は30日までの9か月で1万1000円近く値上がりし、連日バブル後最高値を更新します。

30日の東京市場は123円98安の2万7444円17銭で今年の取引を終えましたが、年末としては1989年以来、31年ぶりの高値水準となりました。

Q.コロナウイルスが収束する気配を見せない中、どうして株価は上昇するのでしょうか?

その要因は、大きく分けて2つあります。

1つ目は「海外の要因」です。ニューヨーク市場でのダウ平均株価に連動して連日、日経平均株価も上昇していきました。ワクチンの開発や普及により経済の正常化に対し期待感が高まったことや、大統領選挙でバイデン候補の勝利が決まり、市場に安心感が広がったことで、ダウ平均株価が上昇し、それを受けて日経平均株価も上がりました。

2つ目の要因は「日銀」です。日銀が異次元の金融緩和を行い、市場に資金を投入し株を買い支えたことが要因です。日銀は3月にETF=上場投資信託の買い入れ枠をこれまでの2倍に増やしました。

しかし、長期国債などの安定した市場に投資しても利回りが少ないため、資金はだぶつき「金余り」の状態に。より利ざやが見込める株式市場に資金が流れ込んだ結果、コロナでダメージを負った実体経済とはかけ離れて株価が上昇しました。特にアメリカ大統領選が行われた11月以降、株価はさらに上昇し、連日、バブル後の最高値を更新しています。

市場関係者は「来年も金余りの状態が続き、景気の回復度合いによっては3万円を突破する可能性もあるとみています。

Q.一方で異例といえば、ことしは東京証券取引所が1日を通して取引を停止することもありましたね?

10月1日には東証のシステムトラブルにより終日、株式の売買が停止しました。東証の終日停止は、現在のシステムが導入された1999年以降初めてのことでした。

金融庁は、日本取引所グループと東証に対し業務改善命令を出し、それを受けて東証の宮原幸一郎社長は責任をとり辞任しました。

今後、世界の投資家から選ばれる市場を目指し、再来年の4月には東証一部など現状の4市場を廃止し3つの市場に再編します。上場条件をこれまでの東証一部より厳しくしたグローバル企業向けの「プライム」や、中小企業向けの「スタンダード」などの3つの枠組みを検討しています。東証としては海外投資家が投資しやすい環境を作る狙いです。

海外投資家から選ばれるためには、日本市場としての価値を高める必要があります。実体経済に見合わない日銀だのみの市場から脱却するため、政府は、着実に成長できる経済政策を打ち出すことが求められます。

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